東京Vの柴崎貴広は「ああ」と言ってうなづいた。「知り合いからけっこう連絡がありましたね。なんか取り上げられているよって」。ネット上を中心に話題となったのは、東京Vがリードしていた前節・名古屋戦終盤での、柴崎の”時間稼ぎ”についてだ。通称・シバ焦らし。かねてより、少し独特な形で時間を稼ぐGKの姿は一部で話のタネとなっていた。
相手ボールがGKのもとへ飛んできた際、足下にそのボールを置いて相手選手が近づくまで待つ、試合でよく見る光景がある。少しでも時間を掛けられるように、柴崎は股の間にボールを置くなどして工夫する。考えはこうだ。「賛否両論あるのは知っています。でも、それはチームが勝つためですから。ルール上は問題ないのでやっています。勝つために考えれば、普通なこと。特別なことではないと思っています」。たしかに、わざと痛がってあざむいているわけではない。相手からもたらされたボールを、ちょっとの時間キープしている。
味方にとっては助かり、相手にとってはイライラさせられる、あのGKの光景。柴崎はいたって真剣に、チームが勝つための最善を考えてプレーを選択しているという。
(東京V担当 田中直希)
2017/06/14 16:09