6日、鳥栖は元日本代表GK権田修一の獲得を発表した。
SVホルン(オーストリア)での1年間の期限付き移籍を満了した権田だったが、欧州でのプレー継続を希望し、所属元であるFC東京との契約を両者合意のうえで解除。欧州での移籍市場が閉まる1月31日ギリギリまでチームを模索したが見付からなかった。
そんな状況の中、権田に獲得のオファーを出したのが鳥栖だった。「どっちみち帰る予定だった」という権田は4日に日本に帰国。このタイミングで鳥栖が正式にオファーし、翌5日に権田が鳥栖にやってきた。ここで契約内容や条件について話し合いが行われたが、「昨日(5日)の7時くらいでもサインするかは決めていなかった」と権田が話すように、まだこの時点では加入に対して前向きな状況ではなかった。
そんな権田の気持ちを突き動かしたのは竹原稔社長の熱意だった。交渉の場で竹元義幸強化部長やマッシモ・フィッカデンティ監督から「ここの社長は素晴らしい」という話を聞いた権田は、「それだけみなさんが良いと言っている方と会ってみて決めたいなと思った」と話す。そして、その出会いは大きなものになった。「やっぱり会ってみたら決まりましたねという感じ」と明かすように、竹原社長との面会が鳥栖加入の大きな決め手となった。
「自分のやっている仕事の中で稼いだお金をこのチームのためにどう使ったらいいかとか、このチームはどうしたらACLに行けるのか、優勝できるのかというのを本当に考えている」と権田は面会での竹原社長の印象を振り返り、「例えば、『空港をそばに作ってくださいよ』と言ったら『分かった、できないかもしれないけどとりあえずやってみる』と言ってくれそうな、『お前らが必要なんだったらやってあげるよ』という雰囲気は話していて感じた。この人のためにやってみたいと思った」とその人柄にほれ込んだ様子だった。
オフの早い段階から権田の獲得調査を進め、何度も熱心に権田本人に接触した竹元強化部長の存在についても権田は「熱心に誘ってくれて、何回会ったか分からないくらい会っているので、そこへの感謝もあった」と話しており、最終的には二人の熱意が実った形となった。
SVホルン退団後は知り合いのコーチや欧州での人脈を生かし、ドイツやスペインなどで練習を行っており、コンディションの面では大きな問題は感じられない。合流初日となったこの日はゲーム形式には参加しなかったが、GKのトレーニングをしっかりとこなしている。鳥栖にとっては不安視されていたGKだが、権田の獲得で十分な陣容になった。
(鳥栖担当 杉山文宣)
2017/02/06 21:14