前節・清水戦(0●3)にメンバー入りした金沢の可児壮隆が、70分から途中出場。J2第17節・熊本戦(2●5)に先発して以来、約4カ月ぶりにリーグ戦のピッチに立った。
川崎Fから期限付き移籍中の可児は、これまでベンチ外の日々を過ごしていた。サブ組主体で臨んだ天皇杯も「アピールしてリーグ戦につなげられたら」との思いはあったが、出場時間はおよそ10分間にとどまった。
試合に出られないつらさは、プラスの力に変えてきた。「自分が良くなることを考えて課題に取り組んできた。試合がないなら、調整もないので、もっと練習ができる。今までの中で、一番筋トレをやった」。球際の強さをとことん追求した。
森下仁之監督は可児を起用した理由に、チームに累積警告3回の選手が多く、けが人も出ていることを挙げ、「今まで出場機会のなかった選手も、当然チームの力にならないといけない」と話した。「しっかりとボールを握りたかった」(森下監督)という狙いもあった。
ボランチに入った可児は後方からボールを引き出し、攻撃にリズムを生んだ。「自分のところで周りを見ながら、受け手の周りまで見ながらプレーする」(可児)。視野の広さが彼の長所であり、「縦にパスをつける」こだわりもある。ボランチへの思い入れは強い。
「いろいろなことをできるようにしたいけど、全部“そこそこ”にはしたくない。攻撃だけ、守備だけ、というのも良くない。小笠原(満男)選手の守備も好きだし、遠藤(保仁)選手や中村憲剛選手のパスも好き」。可児はあらゆる面で高みを目指す。
ひさびさの出番を「うれしかった」と素直に喜び、「自分の良さを出して勝利に貢献したい」と気合いは十分。本格的な秋の訪れとともに、可児にチャンスの気配が漂ってきた。
写真:野中拓也
(金沢担当 野中拓也)
2016/10/19 18:33