29日から甲府に中国スーパーリーグのギガクラブ・広州恒大のリザーブチームの鞠枫(21歳)が練習参加している。
広州恒大の公式HP上はリザーブチームに名前があるが、トップチームに登録されているそうだ。ただ、マルチェロ・リッピ監督からルイス・フェリペ・スコラーリ監督になってチャンスが少なくなったそうで、「Jリーグで受け入れてもらえるなら、Jリーグで出場のチャンスをつかみたい」ということで来日。これまで山形、愛媛、水戸の練習に参加して、J1クラブで受け入れたのは甲府が最初。
U-17中国代表に選ばれた経験もあるという彼のポジションはボランチで、紅白戦形式の戦術確認では控え組でプレーした。これは負傷者が多い甲府ならではの待遇。甲府のある選手の評価は、「即戦力という感じではないかもしれないけど、(パスを)つなぐのはできる感じ」、「ミドルシュートはないかな」、あるコーチは、「この先伸びる可能性があるけれど、現状では日本の平均的な大学生と同じくらいかなぁ」というもの。2日間だけなので正しい評価は難しいが、外国人枠が拡大されるのであれば即戦力でなくても1枠を充てて1~2年掛けて育てることも可能と判断するクラブは出てくるはず。
下心として、中国企業のスポンサーを獲得したいというものもあるが、中国サイドが彼のような選手を送り込んできて、Jリーグで育成し、Jクラブが育成費を受け取るという形もアリ。広州恒大はアカデミーとトップを合わせると60面のピッチを持っているそうなので、甲府の練習環境に否定的かと思ったが、この点についてもネガティブなことは言わなかった。Jリーグで中国人選手が何人も活躍するような時代が来れば、訪日・在日中国人が新たな観客層になるだろうし、放映権ビジネスも拡大するはず。Jリーグ勢はACLではここ数年苦戦しているが、Jリーグを東アジアのトップクオリティーのリーグにできる可能性を秘めるチャイナマネー&パワー。そのための連係の序章はもう始まっているのかもしれない。
写真:松尾潤
(甲府担当 マツオジュン)
2016/09/30 20:29