著者:粕谷 秀樹(かすや・ひでき)
発行:8月10日/出版社:東邦出版/価格:1,400円(本体価格)/ページ:264P
“解説歴20年”の熟練レシピ。プレミアリーグの美味しい食べ方
プレミアリーグ史上最強宣言。
92年に発足した当初は決して恵まれたリーグではなかったが、いまでは世界的に最も魅力的なリーグの一つに数えられるのがイングランドのプレミアリーグである。今季はジョゼ・モウリーニョやジョゼップ・グアルディオラら欧州きっての名将がそろう。その25年目を迎えるプレミアリーグを、解説業やコメンテーターとしてお馴染みの著者・粕谷秀樹が、レシピを料理していくかの如く歯に衣着せぬ物言いで紹介していくのが本書である。
「カネでつくられました」
これは第4章でクラブ別の紹介をしていく際に、マンチェスターCを表現する中で最初に出てきた言葉である。ウィットに富んだジョークと皮肉をたっぷり含んだ言葉の数々は、本書を彩るスパイスとでも言おうか。72年の初春に前身のイングランド・リーグに衝撃を受けた著者による44年の“愛”が、この一冊には詰まっている。
選手や監督、金、協会、クラブ。プレミアリーグ観戦にあたり、人によって見方や切り口はいくらでもある。それを本書では観戦術や注目選手、クスッと笑えるトリビアを含めて、あらゆる視点から掘り下げ、その魅力を存分に伝えている。例えば、クラブの総資産などはよく目にするが、代理人に支払った報酬額なんてなかなか知ることができない。タイムリーな話題では英国のEU離脱の影響に触れているのも面白い。最多降格回数を誇る選手の紹介といった深い知識からくるネタの多さは“解説歴20年”の著者だからこそ伝えられる醍醐味と言えるだろう。
近年、プレミアリーグは群雄割拠の時代に入っている。昨季は誰も予想しなかったレスターの躍進があったように、今季も数々のドラマがピッチ内外で繰り広げられるだろう。プレミアリーグが好きな人もそうでない人も、この一冊をテレビ観戦の傍らに置いておけば、いつもと違う風景がそこには広がっているはずだ。
(BLOGOLA編集部)
2016/09/11 12:00