14日に行われた岡山vs讃岐の瀬戸大橋ダービー。結果は3-1で岡山の勝利となった。当然、プロは結果がすべてなのかもしれないが、内容やさまざまな出来事を評価される試合があってもいいのではないだろうか。敗れた讃岐にとって、そう感じることのできる一戦だった。
1年で最も過酷な夏場の3連戦3戦目。選手全員が体力的にも精神的にも疲弊し切っていたはずだ。しかし、試合が始まれば讃岐の選手は誰もがピッチを縦横無尽に駆け巡っていた。そして、北野誠監督は岡山に勝つべく、特別な戦術を用意。中2日で、その戦術を実行しようとした意思には感服する。岡山の長澤監督も試合後の会見で「(讃岐に)ちょっと特殊な形(布陣)を組まれた(中盤がダイヤモンドで、前線がフラットの[3-4-3])。北野さんはそういうのが本当にすごい。(戦術ボード上の)磁石ではできるんですが、それを選手が理解して、中2日でしっかりと稼働してくるというのは本当にすごいと思います。指導者としてリスペクトします」と言葉にした。そして、それを実行した選手たちの適応力にも驚かされた。
また、リーグ戦初先発となった荻野は、押谷との攻防でPKを取られ、勝ち越しを許した。荻野がもらった人生初のリーグ戦でのイエローカード。それは、ほろ苦い思い出になったかもしれない。しかし、映像には残らなかったが、PKを決められた直後にエブソンが歩み寄って荻野を励まし、試合終了後には西も頭をクシャクシャとつかんで頑張りを称えた。荻野自身は「自分のミスで」と終始悔やんでいたが、この経験を誇りに思う日がきっと来るはずだ。
そして、何より忘れてならないのが瀬戸大橋ダービーに駆け付けた約1,500人の讃岐ファン・サポーターだ。チームの戦い同様に、1万人を超える岡山の応援にまったく負けていなかった。贔屓するつもりはないが、統率の取れた応援にはアウェイの地でも度肝を抜かれた。
今季のここまでのベストゲームはJリーグ通算100試合目となった第16節・C大阪戦(3○2)での勝利なのかもしれない。だが、この岡山戦も同等に評価される試合であっていいはずだ。
(讃岐担当 柏原敏)
2016/08/15 16:24