先日、SNS上で長崎に所属する北朝鮮代表のリ・ヨンジに対する人種差別と、長崎の原爆被害を揶揄する書き込みが行われたが、リ・ヨンジと長崎は、これら一連の誹謗中傷に動じることはなく、リーグ戦へ気持ちを向けている。
SNS上で一連の書き込みが行われたのは6月12日から13日までの間。「捨てアカ」と呼ばれる、なりすましによるアカウントによって行われたもので、クラブは問題の書き込みを確認後、すぐにJリーグへの報告をはじめとした対応を行い、現在、SNS上では同アカウントは凍結され事態は終息しつつある。クラブ関係者は今回の一連の書き込みを、サッカーファンではない者が行ったと考えており、ネガティブな話題をいたずらに拡散するより、適切な対応を行ったあとの対処は関係先に任せる方針だ。
長崎は、Jリーグ昇格後から国際化を重要なテーマに掲げ、中国スーパーリーグ所属の上海申花との提係や、日・中・韓の3か国による少年サッカー大会「VREDE CUP」を主管してきた。昨季、ともにプレーした韓国籍のイ・ヨンジェ(京都)とリ・ヨンジはプライベートでも連絡を取り合うほど仲が良い。また以前は、クロアチア人のスティッペと、セルビア人のクネズがともにプレーしていたこともある。長崎の服部順一GMが常々「そういった垣根が長崎にはない。」と口にするとおり、長崎は人種問題とは無縁なクラブと言っていいだろう。
そんな長崎だから、騒動から数日たったいま、チームにもサポーターにも大きな変化は見られない。卑劣なヤジでどうにかなるほど、チームでのリ・ヨンジの存在は軽いものではないし、サポーターが彼に寄せる信頼は弱くない。どれほど低俗な言葉がSNS上で並んだとしても、そこには一片の価値もなく、それで何かが揺らぐこともない。それが長崎とリ・ヨンジの現実だ。
(長崎担当 藤原裕久)
2016/06/18 18:57