関東大学サッカーリーグをもっと知ってもらうために、OB選手が大学時代を振り返る連載企画。10回目の今回は明治大OBの高木駿が大学サッカーを語ってくれた。
■プロフィール
GK 21高木 駿(たかぎ・しゅん)
1989年5月22日生まれ、26歳。神奈川県出身。181cm/77kg。本町SC→東京Vジュニア→東京V Jr.ユース→東京Vユース→明治大→川崎Fを経て昨季、千葉に期限付き移籍。明治大3年次の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)では51年ぶり2度目の優勝を果たし、第26回ユニバーシアード競技大会(2011/深セン)では代表として日本の5度目となる優勝に貢献した。今季は第30節終了時点で22試合に先発出場中。
――明治大に進もうと思ったきっかけは?
「(東京V)ユースでトップに上がれないという判断を早い時期に下されて、『大学に行って成長してこい』ということになりました。そのタイミングで、何回か明治大の神川明彦監督がヴェルディGに直接練習を見に来て『高木が欲しい』と言って貰えたんです。ユースから直接プロに行くことだけを考えていたので、大学進学は考えていなかったのですが、(トップに上がれないことになったときに)いち早く明治大が誘いに来てくれたので進学を決断をしました」
――大学サッカーに進んで感じた最初の印象は?
「東京Vユースのときには、帝京高で監督をされていた古沼貞雄さんがアドバイザーにいたこともあってかなり走りました。だから大学生活はあまり苦ではなかった。ただ、大学に入ると完全な縦社会だったので、上の学年の言うことはすべて聞かないといけない。部としても人としてどうあるべきかということを第一に考えていたので、厳しいことはたくさんあったと思います」
――自分が上級生になっていくにつれて変化したことはありましたか?
「けがなどもあって、1年を通じてプレーできたことはなかったのですが、1年生から4年生まで試合に出させてもらうことができて、多くの経験を積めたことは自分の中で大きな財産です。大学からプロになるには4年間という限られた期間の中で結果を出さないといけません。1、2年生のときは何も考えずに頑張ればよかったのですが、2年生のときにインカレで優勝して3年生になると、チームをまとめることを考える必要が出てくる。特に4年生になったときは、チームのことを一番に考えてやる難しさを感じました。それぞれの学年で学べることがあったので、大学での4年間はすごく大きかったと思います」
――ユースのときにチームをまとめるのと、大学でチームをまとめるのは違いましたか?
「全然違いますね。ユースのときはチームも強かったので普通にやっていれば勝てていたし、スタッフもスペシャリストしかいなかった。東京Vの持っているメソッドや個人技の力があった。でも、大学サッカーは自分たちでやっていく必要がある。そこが一番の醍醐味だと思います。特に4年生のときは自分たちで考えることが多かった」
――印象に残っているできごとは?
「ある試合で、僕たち4年生の出来が不甲斐なくて負けてしまったときのことです。神川監督は試合中からベンチ前で叱咤激励をしてくれていました。しかし試合が終わっても監督の怒りは収まらず、僕らがロッカールームに入ろうとしたら、応援している選手も含めた全員が外に集められて、また怒られてしまった。怒られることの良さもあると思うのですが、これでは選手が萎縮してしまい伸び伸びとプレーができない。そう感じた僕は、『ちゃんとやれよ』と言う監督に、立ち上がって『ちゃんとやってます』と言い返してしまったんです。結果、監督と言い合いのようになってしまい、『今後、お前は試合で使わない』とまで言われてしまいました。最後に謝罪をしたのですが、その日は許してもらえず、後日大学まで謝りに行きました。そこでしっかりと話して謝ったら、監督に『選手のほうから意見を出しくれて良かった』ということを言われ、『お前のことは信用している。試合でも使うから』と言ってもらえた。これが、大学での一番の思い出ですね(笑)」
――神川監督から受けた影響というのは?
「サッカー選手である前に、一人の人間としてしっかりしないといけないということを教えていただきました。神川監督は話しがうまいので、それがすごく伝わってくる。真面目で熱い人でもあったので、とても学ぶことが多かった」
――プロに入って、一番生きている経験は何でしょうか?
「チーム全体を考えることです。上級生のときにチームのことを考えながらプレーをしていた経験は、今になって生きていると思います。大学サッカーで試合をたくさん経験したことで、チームがうまくいかないときに、その原因を考えられるようになった。単純に人としても成長できたので、大きな経験でした。結果論ですが、自分には大学サッカーや明治大がすごく合っていた。大学サッカーがあったから成長できたと思っています」
9月12日(土)、13日(日)はJR東日本カップ2015第89回関東大学サッカーリーグの第13節。詳しくは(一財)関東大学サッカー連盟オフィシャルサイトへ!
(聞き手:千葉担当・松尾祐希)
(BLOGOLA編集部)
2015/09/09 13:34