ここ数日、選手間でやたらと投げキッスがかわされている。流行らせたのは彼だった。
今季から就任した安岡拓哉副務に真っ先に「テベス」とあだ名をつけたのも彼だった。
グラウンドに時折響き渡る、ジャングル奥地の鳥の声のような奇声も、もれなく彼の雄叫びだ。
彼の名前はエヴァンドロ。今季大分の背番号10を背負う。先日は筋トレ中に、BGMの『明日があるさ』に合わせてべらぼうに陽気に歌っていた。さすがは『スキヤキ・ソング』、ブラジルでも愛唱されているのかと感心してアレハンドロ松村通訳に確認すると、「エヴァはいつもあんな感じ。知らない曲でもデタラメに歌ってるだけ」と笑って肩をすくめた。
そんな勢いそのままに、始動当初のゲームでは「前からプレスをかける」という田坂和昭監督の指示に忠実なあまり、周囲を置き去りにしてぶっちぎりの独走状態になっていたが、仲間たちとのコミュニケーションを重ね、連係も日増しに高まってきた。新兵器エヴァンドロ。Jへの襲来も間近だ。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2015/02/27 18:47