「今季、『史上最強の湘南を作ろう』と言っていて、過去最速で昇格を決められたことは非常に良かったことだと思っています。でも、個人としては、けがから復帰して試合に絡み始めたばかりなので、残りの試合で何が残せるかです。優勝をできるだけ早く決められるように、貢献したい気持ちが強いです」
「昔からよく見ていて、自分もいつかそういうところ(海外)でやりたいな、という気持ちがあるので、いまも見ています。以前はリーガ・エスパニョーラが好きだったのですが、ここ最近はプレミアリーグやブンデスリーガを見ることのほうが多いです。バルセロナやレアル・マドリーは結構、個人としての力が大きいので。プレミアやブンデスは、リーガよりチームとして参考になります。自分もチームとしての個の部分を試合で生かしたいと思っていますから」
「プレミアはかなりスピーディーなサッカーをしますよね。フィジカルも強いですし。ほかのリーグと比べても、全体的にレベルが高いと思います。どのチームもレベルが高い。スペインは強いチームが抜けているけれど、プレミアは下位のチームでも上位のチームと戦えるという印象が強いです。もちろん、個でも戦えないと通用しないと思いますけれど。そして、基本的に守備というよりは、両チームともに、攻撃のほうを見てしまいます。最近は、選手一人に注目して見たりもしています。でも、あまりシステムやポジションにこだわっては見ていないです」
「マンチェスター・シティのダビド・シルバ選手(スペイン代表)。あとはドルトムントに戻った香川真司選手ですね。シルバ選手はかなり参考にしています。ボールの受け方であったり、パスだったり、ゴールも取れる。ああいうプレースタイルは好きです。基本的には、体を当てられないようなポジショニングやドリブルをしている。そういうところは見ていてうまいと思います。香川選手もボールの受け方がやっぱりうまいです。いまはドルトムントに戻りましたが、マンチェスター・ユナイテッドのころは孤立してしまっていて、プレミアでは特徴が出せていなかったと思います。シルバ選手はチームの中心になっているのでボールがしっかり入ってきますけど、香川選手はチームの中心というわけではなかったので、ボールが入って来なくて触る機会が少なかった。ボールが入ったときにもサポートが少なかったですし、一人で何かをしなくてはいけないことが多くて厳しかったと思います。ドルトムントならみんなが縦を意識しているから、前にボールが入ってもサポートが速いですし、特徴を生かしやすいんだと思います」
「そうでしたね(笑)。ボールを足元で受けるだけではなくて、フリーランで裏へ抜ける動きをドイツ代表でエジル選手がよくやっていたんです。そこを目指せと言われてやっていました。でも、プレースタイルはあまり似ていないですね(笑)。エジル選手はスピードもあるし、ちょっと違うかな。そのぶん、シルバ選手は目指したいところです」
「まず、あのプレッシャーの中でもミスが少ないところ。ほとんどミスがないし、悪い判断がほとんどない。前を向く判断やワンタッチではたく判断もそうですし、ドリブルなのかスルーパスなのかの部分もそう。僕はまだその判断が良いときは良いですけど、悪い場面も何回かある。でも、そういうプレーがほとんど彼にはない。そういうところをなくしていかなくてはいけないと思います。あと、チェルシーも結構見ていて、セスク選手(スペイン代表)が好きなんです。彼もそんなに個人のスピードが速くないのに、プレミアでもやれてしまう。すごいと思います。ワンタッチやスルーパス。なんなんですかね、相当うまいですよね(笑)。ポジショニングと判断がすごい。体もあまり強くなくて、スピードもそんなにない選手はそういう判断のスピードやポジショニングで絶対に負けてはいけないと思います。僕もそういうところで勝負しないといけない。二人は特に参考にしています」
「少し違いますよね。プレミアは“外”って感じですかね。外で崩すというか、サイドを使った速い攻撃というイメージがある。カウンターが速い。たまにミーティングでプレミアのカウンターでやり切るシーンなどは、見せてもらったりもします。でも、湘南や例えばブンデスのチームは、縦を狙っていくというか、奪った瞬間に前を見て、そこにすぐサポートがある。真ん中を狙ったサッカーをする。そういう違いがあると思います」
「スタイルは、自分に合ったスタイルがあると思います。今までは、自分はポゼッションサッカーが合っていると思っていたのですが、でもポゼッションだとあまり縦にボールが入ってこないし、攻めるのに時間がかかってしまう。それよりもボランチやディフェンスがボールを奪ったあとにすぐに前を見て、縦にボールを入れてくれたほうが、すぐに前を向いてディフェンスラインと勝負ができます。回して崩すよりも、そういうほうが楽しいなと感じています」
「FC東京時代は、ポゼッションサッカーの時期が長かったですね。でも、ユースのときは縦に速いサッカーでした。自分のサッカー観も『縦に入れてほしい』というモノがありました。FC東京時代は、奪ったら確実につなぐというか、横パスも多かったです。奪った瞬間に安全につないでという認識でやっていたんですけど、当時から自分としては『早く縦に入れてほしい』という思いはありました。湘南ではチーム全体がそういう意識を持ってやっているので、奪った瞬間に前を向いてくれるし、自分もすぐに準備してボールを受けられるようにしています。すごくやりやすいですね。特に今季は、昨季よりもその意識が強いですし、そういうプレーをできる選手が多い。それは(負傷してスタンドの)上から見ていても思っていたし、けがから復帰して出てみても感じています」
「よくミーティングなどで海外の映像を見せてもらいますし、そこを目指せと言われて意識してやっているところがあります。試合の映像が入ったDVDを渡されて『見とけよ』とか。今年だと、ザルツブルク(オーストリアリーグ)のDVDはみんなで回して見ましたね(笑)。確かにあの試合(14年2月、欧州EL決勝トーナメント・ザルツブルクvsアヤックス)はすごかったです。ああいった欧州の舞台でも、自分たちに近い思考のサッカーをしているチームがアヤックスのようなチームに勝つ。見ていても楽しいですし、結果を出せるのはとてもいいことだと思います。ザルツブルクは湘南として目指すスタイルに近いと思います。そのザルツブルクを率いた監督(ロジャー・シュミット監督)が今季、ドイツのレバークーゼンの監督に就任したのでチョウさん(曺貴裁監督)はすごい押しています(笑)。本当に面白いですし、参考になっていますよ」
「今まで出た試合で言えば、個人的にはこの間の水戸戦(第32節4○2)でしょうか。あの試合はアシストもできたし、得点にも絡めたし、ああいったプレーを増やしていきたい。もっとゴールに向かうというか、シュートチャンスをもう少し自分で作っていかなければいけない。まずシュートを目指して、それが無理だからスルーパスを狙う。そういうシーンをもっと作っていきたい。前にはボールが入って来るので、あとはそこでの僕の精度や時間を作るプレーがすごく大事です。そういうところが自分の特徴だと思うので、そこでの精度を上げていけたらいいと思っています」
「J1に向けてまだまだやることはあると思います。チームとしても個人としても、チャレンジのミスならいいですけど、ムダなミスで相手のボールになってしまったり、カウンターを食らってしまったりするシーンがまだまだある。そういうシーンを減らしていかないと。J1だとそこでやられてしまいますし、チャンスを作れない。個人的にはもっとゴール前での精度を上げていかないといけない。そうでないとJ1では厳しい。残りの試合でさらにクオリティーを上げて、良い形で戦っていけたらと思っています」
大竹 洋平(おおたけ・ようへい)
1989年5月2日生まれ、25歳。166cm/62kg。埼玉県出身。
八潮中央SC→FC東京U-15→FC東京U-18を経て08年トップ昇格。
11年C大阪に期限付き移籍し、翌年復帰。昨年8月からの期限付き移籍を経て、今季湘南に完全移籍。足元の技術に秀でたレフティー。J1通算67試合出場8得点、J2通算18試合出場1得点。
(BLOGOLA編集部)
2014/10/03 17:30