11月30日、柏のMFアン・ヨンハ選手が、朝鮮民主主義人民共和国代表に選出されたことが発表されました。アン選手は、12月1日から開催されるEAFF東アジアカップ2次予選(香港)に出場します。2次予選に出場するのは5チーム。総当たり戦を行い、成績最上位チームが、来夏に韓国で開催される決勝大会(日本、韓国、中国が出場内定)に駒を進めます。そのアン選手に、代表選出についてのコメントをいただいてきました。
――今回の代表選出を聞いて、今の心境は?
「まず、ユン・ジョンス監督は自分をとても信頼してくれている。その信頼に応えないといけないという思いがあります。自分は大きな力を持っているわけではないですが、監督は今も呼んでくれています。監督からはその気持ちを感じますし、それに答えるために、全力で臨みたい」
――監督には選出をほのめかされていた?
「正式ではないですが、今年の2、3月にあったAFCチャレンジカップ(優勝)で監督と話をしたときに、呼ぶかもしれないと言われていました。そして、数日前に、クラブへ正式に招集レターが届きました」
――その話の経緯を教えていただけますか。
「私たち代表は、ブラジルW杯アジア3次予選で敗退しました。その最後の試合、ホームで日本に1-0で勝った後に、在日の選手たちと食事会をしたんです。そのときに、『今回、予選を勝ち抜くことはできなかった。ボクは代表で最年長の選手。良い若い選手も出てきているので、今回を最後の代表にしたい』と、いわゆる引退宣言(笑)をしました。でも、それを聞いた監督が『アン・ヨンハと一緒に始まった代表監督だ。自分がやる限り、一緒にやるぞ』と言ってくれました。監督に代表へ呼ばれたのが、今から10年前です。1回、監督は2010年のW杯後に辞められましたが、再び就任されたときから、自分を変わらず呼んでくれています。そして、そのときも、そのような言葉をかけてくれた。『少しでも力になれるなら、頑張るぞ』という思いにさせてくれました」
――良い話ですね。
「今回も呼んでくれたので、その話が、まんざら社交辞令でもなかったんだと思いましたよ(笑)。やはり、呼んでくれた以上、力になりたいです」
――最終節後に、代表へ合流するのですか。
「大会は1日(台湾戦)から始まりますが、まだリーグ戦があるので、考慮していただきました。リャン選手(仙台)と一緒に2日に出発して、3日のグアム戦、5日のオーストラリア戦、9日の香港戦に臨みます。勝ち抜けるのは1チームだけ。今回、東アジアにオーストラリアが入って、厳しい戦いになりますが、頑張ります」
――負傷で離脱して、全体練習に合流したのが今日(11月30日)です。今のコンディションは?
「けがをしていましたが、布部コーチの(激しい)練習のおかげで、けがをする前よりも良い状態かもしれません(笑)。試合勘についても、あまり離脱期間は長くないので、大丈夫だと思います」
――勝ち抜いて、また日本代表と戦いたい気持ちはありますか?
「そういう個人的なことよりも、大会に参加することで北朝鮮代表が成長できれば良いと考えています。日本や韓国のように、代表の試合は多くありません。この機会を逃さないように、代表チームの発展に貢献したいです」
――若手も増えたのですか。
「最近では代表でも(選手の年齢の)ギャップが大きくなってきました。また顔ぶれも変わると思うんですが、それは柏でも慣れているのでね。18歳の選手とボールを蹴っていますし、免疫はあります。若い子とできるので、その意味でも楽しんでやれれば良いですね」
現在、柏で唯一の現役代表戦士、アン選手の奮闘に期待です。大会については、こちら(http://www.eaff.com/j/competitions/index.html)が詳しいです。1次予選がJ各チームのキャンプ地でもあるグアム・レオパレスリゾートで行われたというのが、個人的には大きな衝撃でした。
(柏担当 田中直希)
2012/12/01 02:04