「GKとしての自分の強みをもっと持たないといけないと痛感しました。僕にとってそれはキャッチとキック。もっともっとストロングポイントにしていかなければいけない。このW杯期間中、そして終わってからもずっと考えています。それをどう自分やチームに還元できるか、というところです。そして、あらためてGKは一人では守れないとも感じました。どんな相手でもストップできるような守備の構築が必要なんじゃないかと。W杯でコロンビアのような個の能力が高いチームと対戦したときに、その個に対して1対1で全部勝ちましょうというのはなかなか難しい。そこでいかに数的不利を同数にする、同数を優位にする、またその数的優位にするときも、ただ人がいるだけではなくて、チャレンジ&カバーの連係をしっかり詰める、そういうところまでしっかりできていないと本当にやられる可能性がゼロに近付いていかない。絶対に守れるという自信がある守備じゃないといけない。それでもやられることがあるのがサッカーですから。だからどんなにうまい選手が来ても、対応できる自信を持つ、その自信を構築できる自分たちでいられるか」
「うーん…確信ですね、分かっていたことが完全に確信に変わりました。守備は構築していくモノ。いまのFC東京のサッカーもそうですが、本当にそこは確信できるようになりました。確実に守るのであれば、やはりグループ、チームで守るということ」
「いや、あまりそこまで話していないです。もしかしたらモリゲ(森重)は『ドログバにも負けてはいけない』という想いがあって、個の力を上げていこうとしているのかもしれないし。結局、戦ったのは日本代表ですが、その中で個人が感じたこともあって。モリゲはモリゲ、僕は僕であって、ホタル(山口/C大阪)はホタル、嘉人さん(大久保/川崎F)は嘉人さん。曜一朗(柿谷/バーゼル)も何かを感じて、海外に移籍したわけで。いろいろな選手が今大会を経て考えることがあって、ここからの自分や所属チームの成長のためにそれを表現していくことが大切だと思います」
「もう“人として”かもしれないです。GK人生だけではなく、引退したあとにも活きてくるかもしれない。例えばこれからの子育てに活きるかもしれないですし(笑)、コーチになってから活かせることかもしれないですし」
「選手寿命が長いという意味では、僕はナラさん(楢崎正剛/名古屋)のようになりたいです。まず何より、たくさんの試合に出たい。監督が代わっても、ナラさんは起用したいと思わせる選手で居続けています。そういう選手になりたい。それが僕の目標なんです。そういう自分であり続けることで、自然といろいろなモノが付いてくる。代表でプレーしたいという気持ちだけで頑張るわけではありません。まずは所属チームがあって、そこでとにかく試合に出続けること、それはチームで評価されている証拠でもある。評価されて出るということは、良いプレーができている証拠でもある。それをとにかく継続していくこと。ナラさんの(J1通算)500試合出場とか、ああいう記録を見るとすごいなと感じて、またあらためていま話したような考えに至ります。記録は簡単に破られないモノです。周作くん(西川/浦和)のリーグ戦7試合連続無失点、あれだってすごい。ちゃんと嘘なくプレーしていないとできない。先ほど話した周りとの連係やコミュニケーションを詰めに詰めた結果です。逆に言えば、周作くん一人でできたことでもない。レッズも失点が多いと言われてきた中で、今季しっかり取り組んだ結果。ナラさんだって、僕はいつも挨拶ぐらいしかできないですが、見ていて間違いないと思うのは、絶対にサッカー選手として嘘のない努力をしているからこそ、あのようなプレーにつながっているということ。代表としても長らくプレーしたし、念願のリーグ優勝だって成し遂げた。W杯では試合に出られた大会もあれば、出られなかった大会もある。それでも変わらず、自分を高めていく。普通じゃないですよね。それを当たり前のような感じでやっているところに、同じGKとしてすごさを感じます」
「分からない、というのが正直な気持ちです。その場に立ってみないと分かりませんが、まだ距離感は遠いというのが正直なところです。GKは評価が難しいポジションでもあります。例えばプレミアリーグで何百試合出場し続けることができるかといえば、まだまだそこには至っていないと思います。でも、調子の良いシーズンに同じことを聞かれれば『いま行ったらできますよ』と言うかもしれません。ロンドン五輪が終わった直後は、少しはそう思っていたかもしれません。でも長いスパンで出続けようという感覚はありませんでした。僕の中での成功は『たくさん試合に出続けてチームが勝つこと』なので、いま欧州に行ってそれができるかと言われればまだ分からない。ただ、そういう自分にはなりたいです。サッカー選手である以上、上を目指すのは当たり前ですから。でもいまは、FC東京でタイトルを獲りたいです」
(BLOGOLA編集部)
2014/08/22 17:08