大分は12日、リーグからの借入金6億円を完済したと発表しました。(公式サイト:Jリーグ借入金完済のご報告)。これにより晴れて財政面でのJ1昇格条件はクリアしたことになり、あとはピッチで結果を出すのみ。いままで「条件面に関してはクラブを信じている」と言い続けてきた田坂監督も、12日に初めて「2年前に報道を見たときには返済は難しいのではないかと思っていた」と本音を語り、「支援して下さった多くの方々に感謝し、期待に応えていかなくてはならない」と、あらためて昇格への決意を表明しました。
でも、これほどまでに支援の輪がひろがったのは、チームの頑張りがあったからこそ。激しい昇格争いの中、つねに上位の成績をキープしてきたことが、人々の期待へとつながり支援への気運を高めたわけですから。だから選手たちには、プレッシャーも感じるだろうけど、自信と誇りをもってプレーしてほしいと思います。
さて、こんな局面で対戦するのが、よりによって“天敵お犬様”こと千葉。過去の戦績はカップ戦あわせて通算で2勝5分20敗、どんだけ相性悪いんですか、とツッコミたくなる数字ですが、なんと、密かにこれを喜んでいる人がいました。8月に広島から期限付移籍加入した丸谷拓也選手です。「僕が来たことで千葉に勝てたとなれば嬉しいですからね。逆に楽しみです」とアグレッシブな姿勢を見せています。
しかも丸谷選手、異様な勝負強さを持っているようです。中学時代のとある大会、2点ビハインドで折り返した準決勝で2得点し、3-3で迎えた延長戦でVゴールをアシスト。続く決勝戦もシーソーゲームになり、最初の同点弾と延長後半での勝ち越しゴールを決めて優勝したという経験の持ち主。この諦めなさ、粘り強さこそが、まさに今の混戦を勝ち抜くために必要なものじゃないですかー。昇格の助っ人として最高です。
しかし、光があれば影がある。小学生時代から全国大会に出場し、高校選手権や世代別代表でも数々のゴールを決めてきた丸谷選手ですが、こんなジンクスも明かしてくれました。
丸谷「実は僕、テレビ中継のある試合で得点したことないんですよ……」
記者「えっ、ちょっと待って。スカパー!に連絡して中継をやめてもらっていいですか」
丸谷「待ってください。僕だって放映されて記録に残りたいです」
そう言えばプロ初ゴールに続き2得点を挙げた9月9日の天皇杯2回戦水戸戦も、折角のゴラッソだったのに、テレビ放映なかったし。
だったら今週末の千葉戦で、テレビカメラの前での初ゴールを決めましょう。そんな約束をして、プレッシャーをかけておきました。(※最悪アシストでも可。)
「僕は大分をJ1に昇格させるために来た。残り5試合で絶対に結果を出す」と、物腰は静かながら強い気持ちをのぞかせてくれた丸谷選手。わたしは今回はフクアリに取材に行けないから、胸を躍らせながらスカパー!中継を見守りたいと思います。倒せ天敵。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2012/10/13 11:24