「当然ながら勝つ自信はある」
今季、指揮官として鹿島に戻ってきたジョルジーニョ監督。
ナビスコカップ王者として臨むこの一戦をどのように捉えているのか。
その意気込みを聞いた。
(聞き手:田中 滋/収録日:7月26日)
簡単に勝てる相手ではない
――対戦相手のウニベルシダ・デ・チリの印象は?
「ウニベルシダ・デ・チリは去年までブラジルにいたのでよく見ることができたチームです。技術的に高いものを持っていましたし、選手個々がアグレッシブに戦うスピリットを持っていました。去年は南米の多くのクラブが驚かされましたし、ブラジルのいくつかのクラブも対戦して敗れていることからも実力のあるチームだと思います。また今季もリベルタドーレス杯の準決勝でボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)に敗れましたが、その戦いぶりは強さを感じました。簡単に勝てる相手ではないと見ています」
――チリサッカーに対するイメージは?
「現役のときとそんなに違いは感じません。セレソン(ブラジル代表の愛称)のアシスタントコーチをしていたときも苦しい状態でチリと当たると毎回大勝しました。ビエルサが代表監督に就任して独特の指導法を施しましたが、そこまでチリのサッカーが変貌したという印象は持っていません。南米ではブラジルとアルゼンチンが独特のやり方をやっていると思います。アルゼンチンが技術プラス球際の激しさを特長としていると思いますが、チリはそれが少し薄まったくらいだと思っています」
――そうすると相手の弱点もつかめている?
「ビエルサ監督は“狂人”というニックネームの通り、突然前からプレスに来るのですが選手がそこまで戦術を理解できておらず、ブラジルにとってはやりやすい相手でした。ウニベルシダ・デ・チリの監督もアルゼンチン人ですが、彼はいろいろなやり方を持っています。前からもプレッシャーをかけられるし、守備を固めてカウンターも狙ってきます。ただし、このチームの弱点があったとしてもここでは言えませんよ(笑)。重要なのは、試合で起きていることを敏感に感じられることです。ウチの選手にはそれができると思います」
いまは良い雰囲気がある
――いまのチームの状態をどう捉えていますか?
「序盤の状況は想定内でした。自分が就任してから選手を把握するまで時間はかかるだろうし、私が求める戦術を選手が理解するのにも時間がかかります。ただ、勝負の世界ですので限られた時間の中で結果を残さなければいけない部分もありました。また、チームがオーソドックスな[4-4-2]に慣れていたところに私がダイヤモンドを取り入れたところ、選手に戸惑いが見られた部分もありました。そこで元に戻して、選手がやりやすい方法を探り出すまでには時間がかかりました。一つひとつが噛み合うまでに時間がかかったのはやむを得ないことだと思います。その中でも不必要な失点もありましたし、逆転できる試合があったのは残念です。ただし、いまは良い雰囲気で良い理解があります。選手たちも手ごたえを感じていると思います」
――新加入のレナト選手については?
「レナトはクレバーな選手なので、どんな状況にも対応できると思います。コンディションがフィットするまでにはもう少し試合をこなさないといけませんが、長期的には鹿島に良い影響をもたらしてくれる選手だと思います」
――勝利に対する自信は?
「当然ながら自信はあります。ただ、そう簡単に勝てる相手ではないということは謙虚さを持って認めなければなりません。アグレッシブさ、戦う精神、競争力、技術というところでも非常に高いものを持った相手です。ただ、過去の成績がJリーグ勢の2勝2敗ということで、南米のクラブと言えど日本やアジアのクラブと対戦しても絶対に勝てるわけではないことを彼らも認識してると思います。ウチの場合は国際経験が豊富な小笠原と中田がいます。経験値という意味でも選手はそろっているので、あとは平常心で自分たちのパフォーマンスを見せられればと思います。特にホームのカシマスタジアムで多くのサポーターが後押ししてくれれば、勝利につながるのではないかと思います」
ジョルジーニョ(JORGINHO)
1964年8月17日生まれ。ブラジル出身。現役時代はブラジルの名門フラメンゴやドイツのレバークーゼンなどで活躍し、95年から98年には鹿島でプレー。ブラジル代表としても2度のW杯に出場し、94年には世界王者に輝いた。現役引退後はブラジル代表のヘッドコーチなどを歴任し、今季から鹿島の指揮を執る。
(鹿島担当 田中滋)
2012/07/31 11:00