九州であることを疑ってしまうほど冷たい風が吹き抜ける高台の練習場にも、本格的な春が到来している。
「ヘアバンドの陽焼け痕が気になるんですよね…」と髪をかき上げて額を見せてくれたのは松原健。言われなければ気づかないが、一度言われるとそこばかりに目が行ってしまう鮮明さで、“外してもヘアバンド状態”となっている。
練習後、ソックス姿でランニングしていた村井慎二が裸足へと変わるのも、ウグイスの声のように春の訪れを告げる大分の風物詩だ。「水色のユニフォームを着ていたころから、先輩がやっていたのを見てシューズを脱いで走るようになった」と言う。村井の真骨頂であるしなやかなボールタッチは、芝の感触を知り尽くす素足に由来するのかもしれない。
少しばかり引きずった冬を脱ぎ捨てて、初勝利という春も確実に近づいている。
(大分担当 ひぐらしひなつ)
2013/04/23 16:54