「選手の表情を見ても、どこか策のない徳島に失点を与えてしまった、勝点2を失ってしまった。そういう風に感じているんじゃないかなと思う」。J2第25節・徳島対北九州戦の試合後の記者会見で、北九州の三浦泰年監督から刺激的な言葉が飛び出しました。「策のない」という部分は、「あくまで、きょうの試合展開」(三浦監督)という断りもあり、“コンビで崩された訳ではなく、ジオゴ選手の個の力で失点を喫してしまった”悔しさが多分に含まれての発言だと思われますが、それにしても、徳島としては悔しい言葉です。
ただし、実際にこの日の徳島の攻撃陣はどこかチグハグで、フィニッシュに至る前段階で意思の疎通を欠いたプレーが多かったことは確かです。もちろん、“策”はありました。ポゼッション能力の高い北九州の攻撃をある程度受けることは覚悟の上で、奪ったボールをドウグラス選手や新加入のアレックス選手に当てて収めながら、2列目も絡んで相手の守備陣を崩す形です。また、北九州がGKからもつないでくることはスカウティング済みで、前からプレッシャーに行くことも序盤は見られました。
ですが、先ほども書いたように、この日の徳島の攻撃陣はチグハグでした。「結局、ボールを運ぶ作業なので、自分が目いっぱいやったところで、周りと合わなかったら意味がない。足元にパスを入れる、ドリブルで運ぶという自分だけの問題ではなく、隣のパートナーが困らないタイミングで出すことも大事。もう少しいいタイミングで出すと、次の人も困らない形で絡んでいくことができる」という小林伸二監督の言葉が全てのような気がします。
“ここ数試合、失点が減った守備をおろそかにすることなく攻撃に厚みをかけつつ、フィニッシュに至る過程の、コンビの精度を上げる”。前半部は相反する内容であり、難しい要素ではありますが、徳島が上位進出するための課題は、ここに集約されていると感じた一戦でした。
(徳島担当 小田尚史)
2012/07/25 17:19