22日に行われた天皇杯ラウンド16、仙台戦は2-3で敗れ、横浜FMは前年に決勝まで進出した大会から姿を消すことになった。
喜田拓也はこの結果に強烈な悔しさを感じていた。「本当に悔しさしかないし、今日に限って言えば天皇杯だったので一発勝負、負けたらそこで終わりというトーナメントだったので、先に進めないことに対してチームメートやスタッフに申し訳なく思う。そうやって言えば済む問題ではないので、結果の世界なので悔しい」
それでも、光明は見えた。「作りの部分、いつもより真ん中のコンビネーションや中央突破をする場面は増えた印象だし、リスク管理、すぐボールを奪い返すということもあった」。それは「自分たちが大事にしていること」。喜田自身もリーグ戦ここ数試合と比べると明らかに縦へのパスや動きが増えた。ゴールも決めた。ただ、それだけになおさら、悔しさは募った。
リーグ戦はこの6試合で1勝5敗。1試合未消化ながら降格圏とは勝点2差。苦しい状況が続く。天皇杯も敗れた。だが、腐っている場合ではない。
試合後、選手たちがゴール裏へ挨拶に行くと、サポーターはブーイングではなく声援や拍手、チャントで迎えた。その様子に喜田は心を揺さぶられた。「今日に限らずだけど」。誰から問われるわけでもなく自発的にそう話し、言葉を紡ぎ出した。
「サポーターの方たちはああやって『信じている』という形で声援や後押しをする覚悟を決めて接してくれていると思う。よく見てみるとサポーターの方の目は死んでなかった。なので、やっている自分たちが下を向くわけには絶対にいかない。自分たちを信じてくれる人たちの思いを無駄にはしていけない」
理想も大事だ。今季の横浜FMは生まれ変わろうとしている。ただ、結果をないがしろにはできない。特に今はそんな状況ではない。「本当に結果を出すしかない」。喜田はそう話すと、「そこはもう、はい」と一息入れるようにしてから、こう続けた。「覚悟をもって、そしてマリノスの誇りをもって戦うべきなので、頑張っていきたい」
自身の言葉どおり、下を向くことなく前を見て話し続けた。語気は強かった。そして言うまでもなく彼の目もまた、死んではいなかった。
(横浜FM担当 菊地正典)
2018/08/23 19:34