19日のJ1第23節・FC東京戦は前半のうちに2点を先行する苦しい展開ながらも、そこから後半に怒涛の3得点を奪って大逆転勝利。5月5日以来となるホームゲームでの勝利とあって、札幌ドームのスタンドは大きく沸いた。今後に勢いをもたらし得る逆転勝利だったと言えるだろう。
そうした中で、チームとして、個人としての確かな成長を実感している男が韓国籍DFキム・ミンテだ。彼はFC東京戦をこのように振り返る。
「ハーフタイムのとき、ふと思ったんです。『これは神戸戦のときと同じ状況だな』って」
彼の言う神戸戦とは、5月20日の第15節、0-4のスコアで大敗した中断期間前最後のリーグ戦のこと。この試合でも札幌は、2失点を喫して前半を終えていた。そして後半も修正し切れず、終わってみれば4点差をつけられての完封負け。キム・ミンテにいたっては後半途中に2度目の警告を受けて退場処分となってしまった悔しい試合だった。
キム・ミンテはFC東京戦のハーフタイムに自問したという。「この試合も神戸戦のようにズルズルと負けてしまうのか? またカウンターを受けてファウルで止めて退場になるのか?」と。そして自答した「過去は変えられないけれど、未来は変えられる。落ち着いて戦えば大丈夫。ここからしっかり立て直そう」。後半はより積極的に声を発するように意識した。3点を追う中でも、常にリスクマネジメントを怠らず、ガムシャラに攻めるのではなく、冷静に攻めて冷静に守った。そして、3点を追って前がかりになった中でも簡単にカウンターを受けることなく、見事に逆転勝利につなげていったのである。
前半を終えて0-2。そこから0-4にされて敗れた神戸戦からおよそ3カ月、今度は3-2で勝利したのだから、これほどまでに明確な手ごたえはないと言ってもいいだろう。
「もちろん、細かな課題はまだまだたくさんある。もっと練習しなければいけない。でも、FC東京戦の結果は自信になったし、その自信の価値を高めるためにも(今節・)清水戦で続けていい戦いができるようにしたいです」
前回対戦で3失点を喫した清水へのリベンジへ、キム・ミンテはそう言ってより気を引き締めている。
(札幌担当 斉藤宏則)
2018/08/23 18:21