15日の首位・広島戦を語る上で、このメインキャストは外せないだろう。紫のユニフォームを9年間まとった現在・湘南のミキッチだ。
思い出深い古巣との一戦を前に心境を聞くと、誰に背も紳士的な振る舞いを忘れない、ナイスガイは笑顔で語り始めた。
「間違えて広島の選手にパスを出さないようにしないといけませんね(笑)。柏、水本、佐々木、柴﨑……9年間いたチームですから、彼らにパスを出すのが習慣になっています。逆に彼らからパスを引き出せるようにアピールしますよ(笑)」
いきなり記者陣の爆笑を誘ったミキッチだが、サッカーの話になると表情が変わる。昨年と今年の古巣の状況を冷静に比較してこのように語った。
「広島はリーグ戦、カップ戦、ACL、クラブW杯と、非常にタイトなスケジュールで戦い続けてきました。昨年はその疲れが残っていたと思います。それに、スタートが悪く新加入選手もフィットしなかったので、そのままずるずると引きずってしまいました。今年は新しい監督になり、新しいシステムと戦い方で、フレッシュさが戻ってきたのだと思います」
より熱が入ったのが、湘南の課題だ。特にプレッシングの面で気にかかることがあるようで、大きな身振り手振りを交えて熱く語ってくれた。
「前からのプレッシングは機能していると思います。ただ、奪った後に失う回数も、奪う回数と同じくらい多くあります。奪った後にどう保持するのかも考えなければ、体力の消耗も激しく疲弊してしまいます」
「ボールを奪った瞬間は、相手にすぐ囲まれて奪い返されてしまう状況です。そのときにシンプルにフリーの選手を使うことが重要です。時間に余裕があり、もっとも適切な判断ができます。そして予測をすること。セカンドボールが落ちてくる位置、それを拾った時に前を向けるポジショニング。これが必要になってきます」
15分間の取材を終えたミキッチは「皆さんの聞きたいことは聞けましたか」と笑い、最後はガッチリ握手をしてロッカールームへ戻っていった。
(湘南担当 中村僚)
2018/04/13 22:55