2日、都内で記者会見を開き、2017シーズン限りでの現役引退を発表したFC東京の石川直宏。現役生活を終える決断に至った理由や現在の心境が語られた会見の中で、「ずっとライバルで、絶対に負けたくなかった相手」として、石川は、FC東京時代のチームメートであり、同い年の茂庭照幸の名前を挙げた。
盟友の引退について、2日、「それはもう、寂しさしかないですよ。同い年で、一緒に苦しい思いもしながら歯を食いしばって頑張ってきた仲間が引退することは寂しさ以外にないですけど、ただ、それはもう、自分でしか決めることはできないし。俺はまだまだ食らいついてやって行くぜ、という気持ちでナオのぶんも頑張ります」と話した茂庭だが、引退会見での石川の言葉をぶつけた3日の囲み取材では、より石川への思いがあふれる言葉が次々と出てきた。
「最初にライバルだと意識したのは俺のほうからだと思う。最初は相手にされなかったけど、それが俺も悔しかった。プロに入って肩を並べるようになって、お互い、刺激し合ってやってきたけど、アカデミーのころは、相手にされないぐらい、あいつが頭二つ、三つ、抜けていた。そういった刺激を受けて俺も成長できたという意味では、俺のほうが先にあいつをライバル視していた。小学校4年か5年のとき、初めて対戦して衝撃を受けた。ちょうどCBをやり始めたころに対戦して『マジか!』と。『同じ小学生に負けるわけがねぇ』と思っていたんですけど、(石川は)イカつかったですね」
初対戦時の様子も含め、二人が切磋琢磨し始めた小学生時代をそう述懐した茂庭は、「プロになって同じチームになってからは、毎週のように決まった日に焼肉を食って、『俺らが(FC)東京を強くするんだ』という話を男二人でしていましたよ(笑)」と、青赤に身を包んだ若かりしころのエピソードも披露してくれた。
「(引退するという話は)去年くらいからチラホラ出ていたけど、もう一回対戦するまでは、っていう気持ちが俺にはあったし、あっちにもあったと思う。今年もまだチャンスがないわけではないから、『試合までにはコンディションを上げておけよ』とは言いました。『引退する』って言ったからって、その日にサッカーを辞めるわけじゃない。今シーズンが終わってから、『お疲れさん』って言えばいいから、引退を聞いたときは、『そっか、シーズンが終わってからだな』って。あいつのぶんも、ではないけど、俺は俺で、ボロボロになるまでやってやる、って腹を括っている。あいつもあいつで腹を括って昨日の発表に至ったと思うし。シーズンが終わったら、『お疲れさん』と、あらためて言いたいですね」
今季、FC東京とC大阪の対戦は、9月9日、J1リーグ第25節、味の素スタジアムでの一戦が残されている。そして、二人のライバル関係は、形を変えながら、きっとこれからも続いていくだろう。
(C大阪担当 小田尚史)
2017/08/03 16:52