前節は、昨季惜しくも最終節で昇格を逃した地・岡山へ、取材に行って来ました。あの日の岡山は本当に蒸し暑く、体内の水分が見る見るうちに失われていく気候条件でした。その中で、最後まで走り切った選手たちの頑張りは素晴らしかったと思います。特に、終盤の岡山の猛攻を最後まで耐えた守備陣の奮闘ぶりは目を見張るものがありました。斉藤大介選手と橋内優也選手による体を張ったシュートブロックは、イングランド代表のテリー選手やスペイン代表のプジョル選手のような気迫を感じました。試合後、サポーター席の一部からブーイングも起きていましたが、(もちろん、拍手で迎えていた方もいました)徳島としては、“勝てなかった”ことよりも、“負けなかったこと”に価値を置いてもよい試合だと、個人的には感じました。戦術的に意思統一された岡山のサッカーが素晴らしかったことは確かで、ここ数試合勝ち切れていない現状を打破しようと、すさまじい気迫で試合に臨んできましたからね。
もちろん、引き分けを全肯定している訳ではありません。試合後の選手たちも、勝ち点1には当然満足していません。引き分けの立役者である斉藤大介選手も、「守備は、DF陣だけでなく、前線の選手も含めて意識が高かった。あとは、攻撃に関して、もう少し人数をかけてスイッチを入れていなかないと。引かれた時にどう崩すかが今のウチの課題」と、険しい表情でした。前半は引かれた相手を崩せない展開が続いただけに、“攻撃での崩し”が課題として残りました。その意味で、今節の北九州戦から出場可能となる、鹿島から期限付きで移籍してきたアレックス選手には期待が懸かります。「(アレックスは)ボールが収まる。収まるから周りも寄ってくる。寄ってくれば(アレックスは)シンプルに周りも使える。だから、攻撃が流れるし、詰まらないよね」と、小林監督はアレックス選手を評価します。「(アレックスは)シュート精度も高い。(相手の)寄せが甘ければ、軽く枠に入れる力はありますよ。警戒して相手がアレックスに寄れば、周りも空きますからね。そのスペースをうまく使えればね」とも話しています。徳島の攻撃を一段階引き上げる存在として、アレックス選手に注目です。
(徳島担当 小田尚史)
2012/07/20 17:35