「現役のときから、引退したら貿易ビジネスをやろうと思っていた」
愛媛・間瀬秀一監督のその考えは『千葉』というクラブ、そして『イビチャ・オシム』という存在との出会いによって大きく方向性は変わった。
03年、海外での現役生活で身についた語学能力を買われて千葉・イビチャ・オシム氏の通訳の仕事に就いたことをきっかけに、間瀬監督は指導者の道を志した。
監督という職業に就くにあたってオシム氏、そして千葉で学んだことは“3つの柱”だったという。
「ひとつは、ピッチ上でプレーしている選手のために指揮を執り、彼らが喜べるサッカーをやること。そして、それに関わる観る人、お客さん、サポーターらが喜びと誇りを感じるようなサッカーをやるということ。ただ、この2つだけではサッカーは成り立たない。この2つを成立させながら勝利する。その3つを学んだ」
それら一つひとつはシンプルなものだが、3つすべてを実現させるのは容易なことではない。だからこそ、高い志をもって向き合えるこの監督業に大きく惹かれたに違いない。
「(その3つの)どれもおざなりにしない。どれかを捨てるとしたら、僕が監督として指揮を執る必要はない」
その強いこだわりは今季より指揮を執っている愛媛でも実践。そしてチームは今節、敵地で千葉と相まみえる。
自身が指導者の道を志し、その心得をつかんだ思い出のピッチで“3つの柱”を体現することができるか。
写真:松本隆志
(愛媛担当 松本隆志)
2017/05/26 16:53