『気は優しくて力持ち』とうたわれたのは、足柄山の金太郎だったか。古き良き時代の理想的な男子像としても使われたこのフレーズがぴったりとくるのが北九州の福田俊介だろう。
7月末にJ1の大宮から期限付き移籍で加入すると西嶋弘之とCBとしてコンビを組み、守備の安定化に貢献した。190cm近い長身と、90kgのがっしりとした体躯を生かしたディフェンスはまさに迫力満点。そんなハードなプレーとは裏腹に性格は実に温厚で、それは最終ラインの選手にとってとても大切な『コーチング』の考え方にも表れている。
「例えばミスをした選手に『何やってるんだ、しっかりしろ』とは言わない。みんなミスをしたくてしているわけではないし。それよりもポジティブなほうに向かうことができる声掛けが大事だと思う。『次は後ろで取るから切り替えて行こう』とか『積極的に行って点を取ろうぜ』とかね」
最終節にJ2残留を懸ける北九州。周囲を気持ち良くプレーさせることで生まれる効果を大事にしたいと考える巨漢CBの存在は、追い込まれた状態で試合に臨む現状だからこそ、余計に貴重になるのではないか。
(北九州担当 島田徹)
2016/11/17 18:10