石﨑信弘監督が今節の水戸戦でJ1・J2リーグ戦通算600試合目の指揮を執る。99年のJ2元年に大分でスタートし、川崎F、清水、東京V、柏、札幌、山形と7クラブを渡り歩いて達成となる記録はもちろん歴代1位。しかもこれはリーグ戦のみの記録で、カップ戦や一昨年のJ1昇格プレーオフ、中国・杭州緑城での記録などは含まれていない。
その話を本人に向けてみると、こんな第一声が返ってきた。
「まだそんなもんなの?」
そしてこう続けた。
「JFLも記録に入れてくれよ、あのときJ2なかったんだから」
監督業をスタートしたのは95年、旧JFL・NEC山形。J2が開幕するまでの4シーズンの記録もカウントしてほしいという主張は、2年前に500試合を達成したときと変わっていない。
こうした話題の際、石﨑監督はこちらのヨイショに安易に乗ってくることはない。「J2なんか、多いときには1年で51試合とかやってたから」、「『600』言うたら、選手でも『600』ぐらい出てるのいるじゃろ? 楢﨑(正剛)なんか全部J1じゃろ? J1だけで600試合言うたらすごいよな」と謙遜ばかり。
いやいや、監督で600試合も十分にすごいんですが?と伝えると、「選手なんかライバルがいて試合に出る、出ないだから。監督なんか試合に出る、出ないは関係ないもん」。
これほどの偉業を周囲にそれと感じさせないあたりは、さすが老練な指揮官。過去には「ワシ、試合より練習のほうが好き」とも発言していたが、試合に向かうために積み重ねた練習の日々を思うと、600試合という記録がさらにすごみをもって感じられる。
文:佐藤円(エル・ゴラッソ山形担当)
(山形担当 佐藤円)
2016/09/29 19:57