「後輩っすからね。自慢っす」。そう言って自らの話の際にはあまり見せないほどの弾けるような笑顔を見せたのは梅崎司だった。「後輩」とは、リオ五輪の男子体操団体で金メダルを獲得した内村航平のこと。梅崎と内村は同じ長崎県の「めっちゃ小さい」諫早市出身で同じ諫早市中学校を卒業した先輩・後輩の関係だ。二人は「直接は知らない関係」だが、「同じ散髪屋に通っていたという噂」であり、梅崎は内村の両親が開設したスポーツクラブ内村についても当時から知っていたという。
五輪開幕前から「親近感が湧きますよね、勝手に(笑)。うれしいし、応援している」と話していた梅崎だが、前回のロンドン五輪での個人に続いて金メダルを獲得した姿を見て「同じ地元からああやってスターが出るのは刺激を受けるし、うれしい」と笑顔を見せつつ、「僕も名前を知ってもらえるように頑張らないと」と加えた。
梅崎はいま、昨季までと比べれば出場機会が限られている状態であり、「難しい時期もあった」。しかし、「逆に悔しさをパワーに変えないといけない」と考えている。だからこそ「いまは全然ネガティブになっていない。大事な時に必ず出番が来ると思っているし、そこで仕事ができるように、チームの助けになれるように、トレーニングを積み重ねて体も心も準備したい」と前を向く。
同郷の後輩にも刺激を受けながら、「自分が何を求めて今はどこの位置にいるのか、しっかり指針を持ってやっていかないといけない」と今の瞬間だけではなく、未来の理想像を見据える。その視線にブレはない。
文:菊地正典(エルゴラッソ浦和担当)
(浦和担当 菊地正典)
2016/08/10 15:15