「ウタカが野津田にいた」、「スタジアムで見た」。
15日の北九州戦(0●1)後に、町田ではそんな目撃情報が飛んでいた。ピーター・ウタカは今季のJ1で得点ランク首位を走っている広島所属のストライカー。そもそもなぜ彼がわざわざ町田に来るのか?大きな謎はあったが、複数の人がそう証言していた。
よくよく考えるとウタカは昨年、清水エスパルスでプレーしており、カルフィン・ヨン・ア・ピンとはチームメートだった。事情を知っていそうなヨン・ア・ピンに聞いてみると…。「グッドフレンド」であるウタカを、広島のオフ期間中にスタジアムへ招待したとのことだった。
ヨン・ア・ピンによるとウタカとの出会いは5年前。清水入りが決まる直前に、ヨン・ア・ピンはオーデンセBK(デンマーク)のキャンプへ参加し、契約寸前までいっていた。1カ月ほどの練習参加中から、二人はいい関係だったという。しかしヨン・ア・ピンとポジションが重なり、ライバル登場を懸念した某大物選手の”政治的な動き”もあって契約は不調に終わる。
15年冬の鹿児島キャンプで、清水のチームメートとして二人は3年半ぶりの再会を果たすことになった。ヨン・ア・ピンもまさかデンマークリーグの得点王にも輝いた大物が来日するとは想像しておらず、「他のウタカ」を想像していたという。「ピーター(ウタカ)も僕がいたことに驚いていた」(ヨン・ア・ピン)という一幕だった。
15日の試合後は都内で食事をともにしたとのこと。デンマークから日本へ――。地球を股にかけ、5年のときを経て深まったヨン・ア・ピンとウタカの友情だった。
写真:徳丸篤史
(町田担当 大島和人)
2016/05/19 17:20