磐田は今週末、鳥栖戦との一戦を迎える。名波浩監督は、このタイミングで九州の地で試合を行うことに対し、感じるものがあるようだ。
熊本地震の影響で中止を余儀なくされる試合がある中、鳥栖戦は予定どおり開催されることになった。「鳥栖は残留争いのライバル」と指揮官は考えているが、今節の試合に向けたホームチームのモチベーションが高いことは承知している。そして、名波監督はこのタイミングで九州の地で戦うことを「運命だと思う」という。
「スタッフと散歩しながら話していたんだけど、『これ運命だよな』と。だからこそ、通常通り(遠方の試合のため)前々泊で行って、きっちり試合をして帰ってきたほうがいいと。熱い思いはわれわれにもある。(齊藤)和樹とかデカ(森島康仁)の嫁さんとか、九州に関わっている人間が何人かいるから」
もちろん、被災者にとって最も大事なことは目の前の生活であり、サッカーを楽しむ余裕はないだろう。「被災された方々にとって、サッカーというものがどれくらいのボリュームになるかといったら、本当に微々たるものだと思う」というように、名波監督もそのことは十分過ぎるほど理解している。
それでも、サックスブルーの指揮官はこう続けるのだ。
「真剣勝負の世界で勝つか負けるかという意味では、それがわれわれの生き様でもある。最後まであきらめない、粘り強く、しぶとく。そういうものを掲げているチームでもあるし、それをやり切っている姿を見て感じていただければなと」
名波監督が運命を感じる、このタイミングでの鳥栖戦。磐田としては連敗を避ける意味でも、そして被災者の心に『何か』を届ける意味でも非常に重要な一戦となる。
写真:六川則夫
(磐田担当 青木務)
2016/04/21 19:01