「それがやってきたことかよ!出して足止まる奴はいらないんだよ!」。城福浩監督が紅白戦中に切れた…ように見えた。普段はジェントルマンで、シャイなところすらある城福監督だが、内心に激しさを抱いた指揮官であることは試合中の姿を見れば容易に想像できる。「これは大丈夫か…」とピッチサイドで見守る記者たちも肝を冷やすほどだった。
しかし監督にこの件を問うと「彼のプレーによってみんなに伝えたというだけ。よく使う手法…でもあります」と軽く照れながらサラリと流す。一人の選手に強い指示を浴びせることで、全体を引き締める狙いだったらしい。
逆に前節・FC東京戦(0△0)については「自分の中では相当抑えた記者会見でした。自分で大人になったなと自分で思うくらい…」と振り返る。試合後は普段と変わらぬ様子に見えたが、内心は古巣に勝てなかった悔しさに満ちていたのだという。
甲府の3年間で感情を巧みに制御する老練さを身に着け、惜しまれつつ今季限りの退任を決めた城福監督。最終節・清水戦で「自分たちが何を積み上げてきたのかを示す」というプロビンチアの指揮官の想いは、間違いなく本当だろう。
(甲府担当 大島和人)
2014/12/03 19:31