「昔から海外サッカーが好きでした。プロになってからは、プレミアリーグとスペインリーグのバルサ(バルセロナ)とレアル(・マドリー)の試合は欠かさず見ています。一番好きなのはプレミアリーグかな。激しいじゃないですか。お互いに前に前に攻め合うからスピードもあるし、スター選手もハードワークする。プレミアリーグはサッカーのすべての要素を兼ね備えていると思います
「プレミアリーグはフィジカルも強いし、技術も高い。それにアグレッシブで前への推進力があるので見ていて気持ちがいい。すべての面でバランスがいいのがプレミアだと思います。イタリアは、技術はあるのかもしれませんが、組織と言うより個が強い気がします。スピード感があまりないし、連係して攻める場面もそれほどない。スペインは2強の試合しか見ませんが、下位のチームでも相当技術のレベルは高いですね。ただ、レアルとバルサが強過ぎます」
「ドイツもたまに見ますが、良いですね。ちょっとプレミアに似ている感じがします。縦に速い。プレッシャーも速いし、フィジカル面も強い。ただ、ドルトムントなどのビッグクラブは別として、平均して見ると技術面に関しては、少しプレミアのほうが上かなと思います」
「アーセナルは毎年注目していました。共感できるんですよ。プレミアの中ではちょっと異質なパスサッカーで。だから頑張ってほしいという思いで見ています。でも、今季はチェルシーに注目しています。すごく補強しましたよね。ジエゴ・コスタ(スペイン代表)やセスク・ファブレガス(スペイン代表)。僕はアーセナル時代からセスクが好きだったんです。技術も高いし、あの身長とフィジカル(175cm/74kg)で、プレミアで通用しているわけですから。彼が通用するのには絶対に何か理由があるはず。そういう視点でも今季はチェルシーに注目しています」
「プレミアのCBは体格の良い選手が多いし、そうじゃないと務まらない。でも、(セスクのように)少々サイズがなくてもプレミアで(通用しているところを)見せ付けられると僕も希望を持てます。特にCBだったときは、小さいCBのプレーぶりを参考にしていました。プレミア以外ではマスチェラーノ(アルゼンチン代表、バルセロナ)のプレーはよく見ていましたね」
「難しい質問ですね。正直に言うと、ブラジル大会では通じた部分よりも、叩きのめされた感じのほうが大きいです。日本は負けるべくして負けたのかなと。実際はほんの少しの差だったのかもしれないけれど、そのときはとてつもなく大きな差に感じられました。こんなことを言っていいのか分からないのですが、僕としてはCBに限界を感じました。今まではそんなことを感じたこともなかったし、コンフェデ杯で大量失点したときでさえも、『3試合を通じて頑張ればこの先もやれる』と感じていたのですが、ブラジルW杯を戦ってみて、『僕のCBは厳しいな』と痛感しました」
「W杯のような短期決戦で勝たなくてはいけないときに、SBがリスクをかけて攻めないといけない状況があります。となると、数的同数や、数的不利な場面になるのですが、CBの仕事がすごく増えます。そういった状況のときに『これは止められない』って思ったんですよ。相手の個のレベルも高いし、攻撃の精度も高いですからね。『怖かった』という感覚に近かった。でも、そこでしっかりと個で抑えられるCBは世界にはいます。でも、僕のCBでは厳しいかなと。例えばマスチェラーノはスピードと守備範囲の広さと出足で抑えているんでしょうけれど」
「(ブラジルW杯後に)レアルに行ったコロンビア代表のハメス(・ロドリゲス)はやはりレベルが高かったですね。コロンビアは特に個の能力が強烈でした。パススピードも速いのですが、それをピタッ、ピタッと止める。コロンビア戦で僕は自分のCBの限界を感じたんです(グループステージ第3戦、1●4)」」
「もちろん悔しさはありますが、その悔しさを晴らすためにいま頑張っているわけじゃないんです。あの悔しさは晴らせるモノじゃないし、一生残り続けるモノだと思います。だから、割り切って切り替えました。いま僕がやることは、ガンバに貢献する、ガンバで良いパフォーマンスを見せてチームを勝利に導くこと。それがいまの僕の仕事。そう割り切れたのが良い方向につながっているのかなと思います。いまはボランチに専念していますし、新たにボランチというポジションを勉強しているさなかです。海外サッカーを見るときも、ボランチの選手に目がいきますから」
「特定の誰かというわけではなく、幅広く注目しています。ポジショニングの取り方や、ボールの展開についてですね。CBもそうでしたが、ボランチも奥の深さには限りがないんです。成長するためには、まだまだいろいろなことを学ばなければいけないし、ボランチを極めたいと思っています。最近見ていて良いなと思うのはデ・ヨング(オランダ代表、ミラン)です。すごくつぶしが効いていますし、展開に関してもそれほどミスなく味方につないでいます。攻撃に関してはヤヤ・トゥーレ(コートジボワール代表、マンチェスター・シティ)です。ほぼボールを奪われることはないし、簡単にプレーするところとドリブルでしかける場面の判断が速い。守備は少しゆるいところもありますけどね。W杯の対戦時にも思いましたが、彼はスイッチが入ったときの前にボールを運ぶスピードがすごい。僕もボランチとしてパスを出すだけでなく、ドリブルでもボールを運べる選手になりたいんです。アーセナルのウィルシャー(イングランド代表)も前にボールを運びますし、好きです。守備に関しては、マンチェスターCのフェルナンジーニョ(ブラジル代表)ですね」
「プレミアはブロックをしっかりと作りますし、それほど前からプレスに行くわけじゃない。中盤での争いが激しいけれど、そこを突破されたら守りをしっかりと固めてCBがクロスをクリアするようなイメージです。でも、ドイツは前からのプレスがすごい。参考にしているわけではないのですが、僕の理想のチームというか、こういうサッカーができれば強いだろうなと思うのはドルトムントです。前からのプレスがハマったときのショートカウンターはすごいし、見ていても気持ちいい。でも、僕らG大阪も調子がいいときはプレスが速いですし、攻守の切り替えもすごく速い。最近は奪われても、ボールをすぐに取り返して再び攻撃につなげられる時間帯も増えてきました」
「サッカーは常に進化するスポーツなので、世界のトップレベルのサッカーを見れば、どういうサッカーをするチームが勝つのかが分かります。各国でどういったスタイルのチームがそれぞれ上位にいるのかを知ることも面白い。僕が一番大切なポイントとして考えているのは、海外のビッグクラブのスター選手がハードワークする姿を見ることなんです。クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル代表、Rマドリー)やメッシ(アルゼンチン代表、バルセロナ)は別格で、攻撃で点を取ればいいけれど、ハメス・ロドリゲスとかオスカル(ブラジル代表、チェルシー)、ディ・マリア(アルゼンチン代表、マンチェスター・ユナイテッド)といった、すでにお金をたくさん得ているような技術のあるスター選手でも、ハードワークして90分走っています。それを見せ付けられると、『僕も頑張らないといけない』とモチベーションが上がります」
「僕はスター選手のプレーを見るのが好きなんです。彼らが毎節どんなパフォーマンスを見せてくれるのかが楽しみだし、実際にTVの前で『ああ、やっぱりすごいな』って(笑)。サッカー選手としてではなく、一ファンとして完全に楽しんでいます。もちろん、『こんなところを見ているんだ』とか、僕もガンバで真似しようと思うこともありますが、基本的にはファンのスタンスですね。しかも、僕は生中継を見るのが好きなんです。基本的にシーズン中は毎週末見ていますね。僕たちもJリーグの試合がありますが、試合後は興奮してなかなか寝られないのでちょうどいいんですよ(笑)」
今野 泰幸(こんの・やすゆき)
1983年1月25日生まれ、31歳。178cm/73kg。宮城県出身。
上野山FC→山田中→東北高を経て01年札幌に加入、04年FC東京に移籍し、12年G大阪に移籍。J1通算320試合出場36得点、J2通算91試合出場7得点。鋭い出足と運動量で相手の攻撃の芽を摘むボランチ、CB。日本代表Aマッチ83試合出場1得点。
(BLOGOLA編集部)
2014/10/10 17:25