「彼は、この街の宝だ」
三浦監督は、いつもそう話していた。
34節の千葉戦で負傷してから、ホーム最終戦の富山戦に復帰するまで、何度も池元がいればと思ってしまう程、先頭になってチームを引っ張っていた男は、やっぱりこのチームの顔であり、欠かすことができない存在であると、あらためて思った。
来年以降、彼の肩には今まで以上に、期待が重くのし掛かるであろう。でも、そんな心配はいらない。彼はピンチを救ってくれる、ウチのエースなんだから。
――池元さんにとって、今シーズンはどんなシーズンでしたか?
池元友樹(以下、池元)「そうですね、チームとして構築して来たことがやれてきたし、自分もしっかり、チームに合わせたプレーが去年以上にできたと思います。自分も意識しながら、去年以上のプレーがしたいという気持ちで、毎日の練習をやって来た。その中で去年より結果は残らなかったですけど、個人としては、また来年につながるようなプレーができたのかなと。しっかりと課題も見えて来たので、前向きに捉えています」
――序盤、チームも池元選手も波に乗れなかったようですが?
池元「やっぱりFWなんで、結果を出すのが一番ですけど、自分の中では毎日しっかりと練習もやっていましたし、状態も悪くはなかった。しっかりと前向きに、自分と向き合ってトレーニングを続けることだけを考えていました」
――中盤以降、前線での連係が良くなって来て、チームも勢いが出て来ました。
池元「そうですね。前のFWが得点を決めて勝つのが一番だし、そうやって結果につながって来て勝てて来たので、チームが乗る1つの要因だったと思います」
――今季、思い出に残った試合、ゴールはありますか?
池元「アビスパ戦。『福岡ダービー』で、初めて勝ちましたし、ゴールも奪えてなかったんで。アウェイで、非常に悔しい負け方をしていたんで、それが果たせたことは、これからにつながると思います。今年は、それが一番なのかなと思っています」
――負けなしで来ていた時の、チームの雰囲気はどうでしたか?
池元「そうですね、序盤の勝てなかった時期でも、チームが前を向いて、同じ目標で戦えていたし、ただ、そこに結果が付いて来なかっただけだったんで、雰囲気が特別悪かったわけでもなく、1年間を通して、みんなが同じ方向を向いてやれたと思います」
――その中で千葉戦で負傷交代し、試合に出られない時期がありました。
池元「やっぱり、チームライセンスで難しい状況になってから、そのタイミングで自分もけがをしてしまって。本当に、悔しい思いをしましたし、何とかグラウンドに立って、チームみんなで、しっかりとした戦いをしたかったんですけど・・・。けがをしたことは、自分が成長するための、もっと強くならなきゃいけない。そういうことを、しっかり考えながらリハビリをしていました。自分をサポートしてくれた人たちとも、しっかり前を向いてやるという関係を持てていた。最後ピッチに立てたし、本当に感謝しています。ただ、その間ピッチに立てなかったのは、本当に悔しかった」
――今、話に出ましたが、クラブに突きつけられたライセンス問題。池元さんは、どう思われましたか?
池元「やっぱり、シーズンが終わってから考えると、厳しい問題だったんだなと思います。シーズン中は、どんな問題が起きても、1つ1つの試合に自分もチームも向いていましたし、どの試合も臨めていたので、自分自身はそこまで揺らぐ気持ちはなかったです」
――いろいろことを乗り越えて、ホーム最終戦には復帰して来ました。
池元「本当は、結果も残して元気な姿を見せたかった。でも、チームは勝てたし、そういう状態でも試合に出させてくれた監督だったり、スタッフだったりに感謝しています。やっぱり、家族も支えてくれていたんで、感謝しています」
――その三浦監督との2年間は?
池元「自分も、しっかりサッカーと向き合えたし、よりサッカーが好きになった。もっとうまくなりたい、という気持ちが、今まで以上に強くなったんで、本当に大きな出会いでした」
――このクラブが、本当の意味で北九州のシンボルになるためには、どうしたら良いと思いますか?
池元「そういう質問は、いろいろな場所で聞かれるんですけど・・・(苦笑)。簡単に、コレだけを直せば良いとか、そういう問題じゃないと思います。報告会の時に『真剣に、全員が同じ方向を向いて、やって行かないといけない』と監督も言っていたように、厳しいと思います。誰がそういう風にやって行くかと言ったら、現場でやっている自分たちが良い試合して、結果残して、少しずつ知名度を上げて行くことしか、今の自分にはできないと思っているので、何とか良いサッカーをして、もっと結果を残せるようにやって行こうと思っています」
――最後に、1年間応援してくれたファンとサポーターに、一言お願いします。
池元「毎年そうですけど、サポーターの声援は自分たちの力になっているんで、いつも感謝していますし、またこれからもギラヴァンツを、もっと応援してもらいたいですね」
(北九州担当 坂本真)
2012/12/01 01:04