天皇杯2回戦柏vs柏U-18という、世紀の兄弟対決が迫っています。ここでは、試合前日の7日に、柏U-18の練習後取材で収録できたコメントを紹介します。
まずは、トップチームでも長年活躍し、主将も務めていたこの人。下平隆宏監督です。
──前日練習を終えて選手の表情はいかがですか?
「いつも通りですね。選手は多少、緊張感があったかもしれないけれど」
──練習の最後、選手たちには何を伝えた?
「まず、明日、自転車を止める駐輪場がどこなのかという話と、ユニフォームは白で、キーパーは赤、ロッカーはアウエー側だよということ(笑)。明日は、お客さんが入って緊張感がある試合になるけれど、それを楽しめるように(精神状態を整えて)来てくれと話しました。いつも通りにやることが大事だし、過度の緊張はいらないから。具体的なことは、明日、試合直前に話します」
──トップチームとユースチームが真剣勝負できます。
「複雑な感情になるゲームですが、勝ちにいく。そうそう、今日、エルゴラで工藤のコメントを見まいた。ウチらをリスペクトしてくれたのは嬉しいですが、(強気なコメントを見て)こっちだって絶対に負けないぞ、という気持ちになりました。これまでやってきたサッカーで、真正面からぶつかります」
──トップチームのサッカーの印象は。
「逞しいですよね。レアンドロはレアンドロだし。システムを臨機応変に変えることができるし、相手の長所を消すのがネルシーニョ監督の得意なところです。そうやって特長を消されたときの策を考えておかないといけません。こっとがボールを握っている展開ならば、システムなどを変えてくることも考えられます。そうされたときの対策を考えたい」
──試合を前日に控えての心境は。
「楽しみでしょうがないし、それ以外ないですよ。ここ数日の報道などを見ていて、個の試合が本当にスゴいことなんだなと実感していますね。ウチは誰かの力が突出しているわけではなく、チームでやるサッカーをしている。プロの選手に対しては、個では勝てない。チーム力で勝負したい。小学生からずっと同じサッカーをやっているから、選手同士で考え方のブレが少ないし、一体感が持ちやすいチームです。その特長を出していきたい」
──2種登録から漏れた中川選手などは気持ちも高ぶっているのでは。見ていていかがですか。
「その思いは強いかもしれないね。彼の力を示す最高の場。アイツの力を見せてほしいという気もします。彼が中盤をけん引しないと、レイソルのサッカーは実現しない。彼をはじめとする、中盤の3選手(秋野、中川、小林)でここ数試合はできている。それもプラスだね」
──トップチームの鋭いカウンターに対して?
「カウンターを食らうことはしょうがない。問題は、いかにその回数を減らすか。そのためには、攻撃を良い形で行い、良い距離感でボールを持ち続ける。カウンターを受ける前提で考えるのではなく、いかに攻撃し続けるかというところだと思う。それに、付け入る隙は相手のプライドにあるんじゃないかとも思っている。縦にパスを入れられるところで、不用意に繋いでくるところでボールを奪うとか。そのあたりのプライドにつけ込みたい。また、ウチは低い位置から繋いでいくけど、そのリスクは分かっている。神経を研ぎすませながらやっていかないといけない」
──PK練習はしないのですね?
「PKを練習しないでこれまで勝っているからね。中国遠征を含めて、3試合連続で勝っていますから、この流れでいきたい」
続いて、選手たちのコメントです。明日、試合が開催されるスタジアムの脇で、制服姿になった彼らを掴まえました。
最初は、センターFWでの出場が予想されるFW 9 川島 章示選手です。
──いま、どんな気持ちでいますか。
「この一週間、良い準備ができました。最高の準備ができました。トップとできるのはスゴく楽しみ。自分がどれだけできるのか、試したい。トップの練習参加もしたけど、スタメン組とは練習していません。どんな感じになるか…」
──トップチームの印象は?
「J1の優勝チームです。しかも、僕らがユースで相手はトップ。まあ、強いですよね。すっごいCBもいる。でも、FWとしてはどんな試合でも点を取ることを目標にしている。明日も、点をとりたい。
前にレアンドロ選手とワグネル選手という上手い選手が起点になっているし、FWでは工藤選手やネット選手もいる。得点力がスゴい。でも、自分たちがボールを保持できれば、その得点力もなくなる。明日もいつものプレーを見せたい」
──緊張はするタイプですか。
「緊張はするけれど、良い緊張感で迎えられると思います」
──日立台で公式戦を戦えることについて。
「ココ(日立台)でプレーすることは夢でした。でも、『トップチームの選手としてココでプレーすること』がいまも変わらない夢です。その第一歩として、この日立台で頑張って良いプレーを見せたい」
──ゴール後はゴール裏に飛び込む?
「どうでしょう…(笑)。明日は、友達も見にくるんですよね(笑)。そこに行ければ。とにかく、みんなにも、良いプレーを見せられるようにしたいです」
2人目は、下平監督も中盤のキーマンと語った、MF 8 中川 寛斗選手です。
──いまの気持ちは。
「明日が待ち遠しい。そんな気持ちです。今までにない、特別な試合になります。でも、これまでと同じテンション、コンディションで、平常心でやりたい。自分たちはやれると信じて」
──2種登録から外れたことで、見返したい思いはある?
「2種登録のことや、練習参加のこと(あまり練習参加していない)には悔しい面があるけど、そういうことがあったから、中国遠征やクラブユース選手権(での活躍)もあった。いまはプラスの結果が出ているし、ポジティブに考えています」
──トップと試合をすることについて。
「小学校4年からレイソルに入りました。そのときからずっと憧れていたスタジアムで、憧れの選手、そして目標にしていた選手とできる嬉しさがあります。特にレアンドロ選手はスゴいプレーヤーですが、そういうことはあまり試合中は考えず、自分のプレーに集中したい」
──憧れの選手とは?
「レアンドロ選手です。生まれ変われるならレアンドロ選手になりたいです(笑)。自分が目標としている選手のスタイルに近い。みんなに注目される選手ですし、その人間性にも憧れます。一見、しゃべりかけにくい人に見えるけど(笑)。1つのターンにしても、見習うべきものがありますよね。ボクらに出せないオーラがあります」
中川選手と並んで、中盤の中央でプレーするMF 5 小林 祐介選手は、こう話しています。
──今の気持ちは?
「緊張しているというより、楽しみです」
──トップと対戦できると決まったときは?
「スゴく嬉しかったです。でも、すぐに気持ちを切り替えて、8日に向けてやってきました」
──トップの練習にも参加して、遜色ないプレーをしていた?
「まだまだだと思っています。トップはみんな素晴らしい選手ばかりですし、足りない所とか課題も見つかりました。でも、できたプレーもあるので、そこは自信にしています。
──できたプレーとは?
「ボールを取ることを得意にしているのですが、それが何回か出せたことです。パスをしっかり繋げられることもあったので、その部分は伸ばしていきたいです」
──トップの中盤、特に対面するボランチの選手については?
「まず、茨田くんはずっと見ていた選手で、スゴい選手だというのは分かっています。それに、タニさん(大谷)、クリさん(栗澤)も。どんどんボールを取っている。スゴいな、としか言いようがないです」
──日立台で試合することについて?
「ボクは中1のときから、家のある埼玉から柏まで通って、ずっとココで練習してきました。日立台でプレーすることは夢でした。ユースの選手として、トップチームとここでできるのは本当に嬉しいことです」
柏の強力FWに対面するのは、フィールドプレーヤーで唯一、2年生として先発が予想されるDF 20 中谷 進之介選手です。
──明日に試合を控えて、いまいかがですか?
「さっきスタジアムに荷物を運んだんですが、中に入ってイメージしてみたら、『楽しもう』という気持ちが出てきました。小さいときからずっと試合をココで見てきた。でも、自分が多くのお客さんが入るなかでプレーすることはありませんでした。もう、アドレナリンが出まくると思う。でも、冷静にプレーしたい」
──相手にはとても強力なFWがいる?
「まず、気持ちで一歩後ろに立つことがあってはいけない。最初からガツンといかないと。この前、ナビスコカップのガンバ戦を日立台で見たんですが、ネット選手のパワーが半端なかった。ボールを取りにいくというより、前を向かせないよう、秋野くんと連係をとってやっていきたいです」
──相手の攻撃については?
「練習試合をトップチームとやったとき、後半に入ると、DFの背後にどんどんボールを蹴ってきた。自分たちがはっきり跳ね返すことが大事になりそうです。セカンドボールを拾いに来るスピードも速かったので。いつもならば繋ぐところも、はっきりプレーしていこうと思います」
──セットプレーも脅威です。
「ニアに速いボールが飛んでくる。しっかり跳ね返したい。そして、カウンターに繋げたい」
最後は、キャプテンを務めるMF 6 秋野 央樹選手に締めてもらいます。
──試合が迫ってきました。
「相手がトップだからと言っても、いつも通りのプレーをしたい。やるからには勝ちたいと思います。自分たちのサッカーは、ボールを保持して押し込んでいくもの。そのスタイルを出さないと勝ち目がない。だからいつも通りのサッカーをやるしかないです」
──今日はセットプレーの練習をしていた?
「セットプレーはサッカーのどの試合においても大事なものです。1つひとつのプレーを無駄にしたくない。相手はトップですし、いつも通りの攻撃で崩しきれないこともあると思う。ですから、セットプレーも大事にしたい。セットプレー守備でも、中に入ってくる相手の選手は強いし、良いボールも入ってきますから、いつもよりも早く寄せるとか、しっかり声をかけることが大事になります」
──相手がとってくる対策について?
「ここ最近、自分に対してマンツーマンでついてくるチームが多くなっています。でも、いまはそういうことも仮定してプレーできています。気にすることはないと思う。でも、力強さが普段の相手とは違う。判断を早くする必要があります」
──現在の心境?
「いつもより、ちょっと興奮していると感じます。実は、明日学校に行かないといけないんですよね。文化祭なんです。教頭先生にも言われたので、断れませんでした。でも、それがいい具合に(興奮を)抑えてくれると思います」
──これまでの勝ち上がりを振り返って?
「楽な試合は1つもありませんでした。クラブユース選手権(優勝)が終わってすぐ、千葉県予選の千葉教員戦があったのですが、そこでは自分たちに過信があるように思えました。甘さを出すとチームは乱れてしまいます。自分たちのサッカーをやることが大事ですから、周りにもしっかり声をかけていきます」
──一回戦、栃木県代表のヴェルフェたかはら那須との対戦では、去年の無念を晴らしましたね。
「去年の一回戦(●0-1栃木ウーヴァ)と同じピッチで、同じ栃木県代表との試合でした。あのときは本当に悔しい思いをしました。失敗は繰り返せないという、反省を生かして勝つことができました。勝てばトップとやれるというモチベーションもありました」
──中2の頃に、工藤選手や茨田選手、酒井選手らがいた当時のU-18と練習していたそうですね。
「はい。同じグラウンドでサッカーをしていた先輩が、日立台でプレーして活躍いるという刺激は自分のなかにありました。ああいうふうになりたいと考えていたんです。その場で自分もやれることは光栄ですし、思い切ってやりたいです」
──エルゴラを読んだそうですね? 工藤選手などの意気込みも読みましたか?
「読みました。ガチンコでやれるんだ、とモチベーションがぐっと上がりましたね。嬉しかったし、やってやるという気持ちになりました」
──コイントスで、大谷主将とはどんな会話を交わしますか?
「どうですかね(笑)。『よろしくお願いします』と言います(笑)」
柏に関わる人、それに多くのサッカーファンからも注目を集める一戦は、8日13時キックオフ。会場はもちろん日立台です。
どういう試合になるかは予想もつきません。いま分かるのは、柏U-18の選手たちが自転車で現れることくらいでしょうか…。
当日券もあるようですので、皆さんもぜひ、スタジアムへ!
(柏担当 田中直希)
2012/09/08 06:48