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　07年の埼玉スタジアムでの浦和戦は忘れることができない。野沢拓也の美しいゴールが決まったとき、思わず叫び声を上げそうになったのを我慢した残滓が、いまも喉の奥に残っている。あれほど気持ちが良い勝利はなかなかない。

　09年の埼玉スタジアムも忘れることができない。内田篤人のクロスに興梠慎三が頭から飛び込み、鹿島は史上初の3連覇を達成したのだった。

　しかし、当時「浦和はうちとやるときだけは強い」と言っていた興梠は、いまや敵方のエースとして君臨している。そのことも今回の対戦を熱くする要素だ。今度の対戦では、前回のような疑惑のゴールは勘弁願って沈黙していてもらいたい。あのときは、大迫も鳴かず飛ばずで興梠から「サコはどうしたの？」と心配されてしまう程度のパフォーマンスだったが、いまは誰もが認めるエースFWに成長を遂げている。どちらがチームを勝利に導くかFW同士のプレーからも目が離せない。

　鹿島サポーターの皆さんからはお叱りを受けてしまうかもしれないが、個人的には、興梠の活躍は嬉しい限りだ。仮にも鹿島の13番を背負った男が、浦和サポーターの方々に「なんだ、使えないな」と言われることだけは我慢がならない。それが、浦和になくてはならない選手として輝きを放つようになり本当に良かった。

　まあ、とにかくライバル意識の高い両チームですが、その歴史は大きく異なります。国内三大タイトルといわれるリーグ、ナビスコカップ、天皇杯で併せて16冠を獲得している鹿島に対して、浦和はまだリーグ優勝1回、ナビスコカップ1回、天皇杯2回、そしてアジア・チャンピオンズリーグと併せて5冠しか得ていません。まあ、唯一鹿島が獲得していないACLタイトルは自慢のひとつですけども。また鹿島は2000年シーズンに国内全タイトルを獲得して3冠を達成していますし、2007-2009年シーズンにはリーグ3連覇も果しています。僕なんて、かつて鹿島スタジアムのオーロラビジョンでジーコを中心とした鹿島の歴史VTRが流れるだけで「今日の試合もダメかも……」と意気消沈したことがありました。最近ではありません。以前の話ですよ。

　でも、そんな眼前の壁、ライバルがいてこそチームは成長を果たせます。また、そのように倒すべき相手、倒したい相手がいてこそ試合へのモチベーションも上がりますし、それが成されたときには達成感も大きいでしょう。