5連戦の最終戦となった前節・水戸戦は、ホームの水戸が「ひたちなか市の日」と銘打った試合だった。ひたちなか市は町田の平戸太貴の故郷。「ひたちなか市の日」に自分がゴールを決めて、「平戸太貴の日」にする。そんな目論見で臨んだ試合は、2本のシュートがクロスバーとゴールポストを直撃。残念ながら、「平戸太貴の日」にはできなかった。
「そんなフラグが立っていたので、家族からもそう言われていました。自分がゴールを決めて、この悪い流れを断ち切りたかったのですが、決め切る部分だけが足りず、勝てなかった責任を感じています」
水戸戦を引き分けたことで町田は8試合、勝利から遠ざかっている。この苦境を抜け出そうと、チームは5連戦の2試合目だった横浜FC戦に[3-4-2-1]のオプション布陣を導入。ただ、試行錯誤を続けながらもまだ結果が出ていない。現在のチーム状況について、主将の平戸は「もどかしさ、悔しさ、苦しさ、いろいろな感情が渦巻いている」と胸の内を明かした。
それでも、確実にチームが前進している感触はあるという。「決めるか。決めないか。そこの差まではきている」とは平戸の弁だ。シーズン序盤は平戸自身が同点ゴールや決勝点、追加点を決め、紙一重の差を結果へと結びつけてきた。
しかし、現状の町田は8戦未勝利の期間に4ゴールしか奪えておらず、得点ペースの低下がこの結果を招いている。「僕自身が決めるべき場面で決められていないことが結果に響いているし、それをモノにしてきたのがシーズンの序盤」。平戸がそう話すように、ゴール欠乏症の原因の一つは自分にあると、責任を背負い込む。「自分の出来がチームの勝敗に直結する」(平戸)。町田が未勝利街道を抜け出すためには、やはり10番の力が必要だ。
連戦がひと段落し、今節はホームに首位の新潟を迎える。15日の新潟戦はクラブが「まちだ感謝祭」と銘打ち、ホームタウン町田市に向けて、日頃の感謝を伝える場として、さまざまなイベントが催される。「ピッチに入っていく雰囲気も変わるし、お祭りのような空気が選手たちの力になる」(平戸)。ピッチ外の熱気を、選手たちは戦うエネルギーに変えるつもりだ。
あらためて首位との新潟戦に向けて、平戸は「首位を叩いて、自分たちの自信を取り戻したい」と決意を話す。そのためにもホームのサポーターの力は必要不可欠。「たくさんの方々に来ていただいて、ともに戦うことで新潟に勝ちましょう」と主将は共闘を呼びかけた。
写真:郡司聡
(町田担当 郡司聡)
2022/05/14 13:02