18日、前日に京都の広報を通じて現役引退が発表されていた増川隆洋が、リモート会見に臨んだ。
「17年間、各チームのスタッフのみなさまのおかげで、すごく充実した現役生活を送ることができました。本当に感謝しております。また、プロになる前に一緒に過ごした仲間たちや指導者の方々に、この場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました」と、実直な性格がにじみ出た言葉で会見をスタートさせた増川。
19年シーズン終了後に京都退団が発表されて以降は無所属の状態が続いていたが、「(京都を)契約満了になったときはすごく悩みました。『引退しようかな?』という気持ちもありましたが、最後のシーズン(19年)は1試合も出られていないというところで、『物足りない』という部分もありました。周りの人から『もうちょっと頑張ってみれば』という話もしてもらい、家族からも『(現役で)やってみたら』という話をされていて。それで現役続行を模索していましたけども、結局うまくいかずに、いま(引退発表)に至った形です」と、現役引退の決断に至った胸のうちを明かしてくれた。
19年シーズン終了後には2歳下の田中マルクス闘莉王が引退し、この1月には4歳下の石櫃洋祐も現役生活に別れを告げた。名古屋、京都でのチームメートであり、親しい間柄だった選手の引退が相次いだことも、心を決める遠因となったようだ。「まだ僕よりもできそうな二人だったので、寂しさはありました。直接、影響したかというと、そこまではなかったですけど、『自分もそういう時期なのかな』という気持ちになった感じはありますね」。
また会見後半には、増川が常々「影響を受けた先輩」と話していた名古屋時代のチームメート・楢﨑正剛氏がサプライズゲストとして登場。「名古屋のすごく良い歴史を一緒に作れて、うれしかったです。マスがベストイレブン(10年)をとったときに、Jリーグアウォーズの壇上でハイタッチしたのは忘れられない思い出」と話す楢﨑氏に対して、「さすがにこれはビックリしました」と顔をほころばせながら「また連絡します」と今後も交流を続けることを誓い合っていた。
引退後のセカンドキャリアについては、「いまは福岡で会社をやっていて子供たちの療育などに携わっていますが、『いつかは指導者に』ということも選択肢として持っています。若い選手を育成するようなことができればいいですね」とのこと。
闘莉王との強力コンビで名を馳せた10年には名古屋をJ1初制覇に導き、16年には札幌のJ2優勝&J1昇格に大きく貢献。190cm超のプロレスラーのような体躯を生かしたダイナミックなプレーがもう見られなくなるのは寂しいことが、稀代の個性派CBはすでに新たな夢に向かって走り始めている。
文・川瀬太補(エル・ゴラッソ京都担当)
(京都担当 川瀬太補)
2021/02/18 13:09