11月1日に今季限りでの現役引退を発表した中村憲剛について、町田を率いるランコ・ポポヴィッチ監督は、かねてから「中村憲剛ほど、優れた選手は世界でもそんなに多く見ていない」と話すほど、評価してきた。引退の報せを聞いたポポヴィッチ監督は「私個人としては、一番好きな選手だったので、寂しい気持ちだ」と心境を吐露している。
実際に指導をしたことはないものの、大分トリニータやFC東京などを率いていた際に対戦すると、彼のインテリジェンスに驚嘆したという。
「日本人の中でも体格が恵まれているとは言えない、細い選手ですし、体格を逆にアドバンテージに変えてプレーしているというのは、インテリジェンスがあるからこそです。予測の速さ、視野の広さ、見ているところにパスを出せる正確無比な技術の高さは素晴らしいです。また憲剛はたとえミスをしても、ミスのクオリティーが高いですね」
シーズン終了まで約2カ月あまり。ポポヴィッチ監督はかつて大分で指導した家長昭博の名前を引き合いに出し、「憲剛と同じぐらいの存在感を出している家長に対しても、ピッチ内・外、そしてロッカールームでの振る舞いや言動を見せることで何かを学ばせることができる」と、中村の意思を家長に受け継いでほしい気持ちを明かした。
「あと2カ月、みんなで彼のプレーを、言動を楽しみましょう」
そう話すポポヴィッチ監督自身が川崎Fのバンディエラのプレーを、言動を、最も楽しみにしている様子だった。
写真:郡司聡
(町田担当 郡司聡)
2020/11/03 10:06