J2降格の危機にあえぐチームを救うべく、残り5試合という段階で指揮を執ることになったキン・ミョンヒ監督。初陣となった前節・仙台戦では今季チーム最多タイとなる3得点を挙げて、勝利を飾った。しかし、この試合では終了直前に雷雨による中断が起きるなど波乱もあった。それでも、指揮官は冷静だったようだ。
「このまま、終わらせてくれっていうのを何回も言いましたけどね(笑)。逆にあれが僕らにとってプラスだったんじゃないかなと。雨が降って、水たまりができて仙台は蹴るしかなくなったので。運ばれたり、ドリブルされたりという現象があったと思うんですけど、ゴール前で固めておけばいいというふうになった。いい準備ができたし、体力を温存できてプレッシングに生かせることもできた。向こうのほうがイヤだったんじゃないですかね」
予期せぬアクシデントにも冷静な読みでしっかりと対応できたことで再開後もしっかりと逃げ切りに成功した。初陣とは思えない、鋭い観察眼と対応を見せている。
初陣での初勝利という最高のスタートを切ったキン・ミョンヒ監督だが「ホッとしましたよ」と話したようにやはり、重圧は相当なものだったようだ。それでも、勝利という薬が好影響をもたらすと考えている。
「新しい体制になって、説得力が出ますよね。選手としても『大丈夫なんだ』というのもあるだろうし、これで負けていたらどうしても疑問符がつくと思う。せっかくいい勝ち方をしたので次の浦和戦もトライして先につながる試合にしていきたい。トーンダウンすると積み上げたものがなくなってしまうので、そういうふうに考えています」
勝利という結果でチームのベクトルをしっかりと統一させたキン・ミョンヒ監督だが、すでに気持ちは次の浦和戦へと切り替わっているようだった。
(鳥栖担当 杉山文宣)
2018/10/22 17:37