疑惑の判定が勝敗を分けた。23日に行われたJ3第24節、長野と相模原が相対した一戦。その問題の場面は、1-1で迎えた終盤の78分に起こった。
左サイドから上がったクロスに対し、長野の内野貴志と相模原の丹羽竜平がエリア内で競り合う格好となると、内野は接触があったとして転倒。これを見た酒井達矢主審は迷わずペナルティースポットを指した。しかし、あらためて映像を見返しても、筆者にはたとえ接触があったにしてもプレーを不当に妨害するようなものには見えず、現場でも違和感を覚えた。当然これには相模原サイドも選手たちをはじめ、西ヶ谷隆之監督も激しく抗議。副審にも判断を仰いだものの判定は覆ることなく、このPKを決められて長野に勝ち越しを許す。さらに、そのあとには同様に今度は相模原のチッキーニョがエリア内で倒される微妙な場面があったが、これはお咎めなしでノーホイッスル。相模原にとっては不満が募る判定が続いた末、試合は2-1で長野が勝利を収めている。
試合後、西ヶ谷監督は珍しく怒りに満ちた表情で、「それは僕たちが負けたからではなくて」とし、こう続けた。「審判の方も全部がうまくいくとは思っていませんけど、明らかに今日に関して言えば、長野さんにとってもゲームを難しくしたのはそういう部分があったと思います。選手は一生懸命やってくれている。やはりレフェリーの向上もしっかりしていかないと、選手もそうですけど、Jリーグ自体も良くなっていかない。これがJ3だから許されるということではなく、現実にこういうことが起きているということもわれわれとしては伝えていってほしい」
それぞれのチームがどれだけの労力を費やして準備を施し、各選手がどれだけの熱量と意志を持って1つのプレーを選択しているか。それを踏まえれば、「これがJ3だから『こういう試合があったよね』とは終わらせてほしくない」という西ヶ谷監督の叫びも胸に刺さるものがある。そして、「そういうものもわれわれがプレーをやっていく上で、メディアの皆さんも発信していく責任として、また一ついろいろなものを提起していってもらえたらサッカー界もまた盛り上がっていくでしょうし、選手の向上、レフェリーの向上というふうになっていくと思う」と述べ、会見を締めくくった。
レフェリーの下した判定をリスペクトすることはサッカーだけでなく、どんな競技でも大原則にあたる。ただ、選手たちと同じように、審判にも多少のミスは起こり得るのがスポーツだ。何が正しくて、何が正しくなかったのか。今回の件はあらためて、こうした判定のシビアな部分に関しても積極的に議論していくという必要性をまた一つ痛感するものとなった。
文:林口翼(エルゴラッソ長野担当)
(BLOGOLA編集部)
2018/09/24 12:55