26日のゲームでは2得点1アシスト。軽やかなステップで相手を抜き去れば、鋭いターンでかわし、正確にはゴールラインを割っていたが重心を低くしたドリブルで相手をはじき飛ばすように抜いた。27日のゲームでは激しい守備にも当たり負けせずに突破し、わずかにコースが外れてゴールはならなかったが、クロスをオーバーヘッドで合わせた。
いま、浦和の石原直樹の調子が目に見えて上がっている。体がキレていることには「そんなことないっすけどね」と笑ったが、「(相手の状況に応じて)一瞬のところで変えられるようになったのはここ最近。体のキレがないと相手もだまされないし、今日は瞬時に変えられた」。オーバーヘッドには「完璧だったんだけどなぁ」とゴールにならなかったことに唇をかんだが、「ちょっと前ならあのボールはトラップしていたと思う。自然と反応するのは良い証拠。まだもうちょっとと思うところはあるけど、良くはなっている」と手ごたえを感じつつある。
状況は厳しい。公式戦で29試合連続ベンチ入りしている一方、そのうち出場したのはわずか5試合。先発出場は6月15日のJ1・1st第10節・G大阪戦(0●1)が最後。ここ8試合はルヴァンカップ3試合も含めて出番がない。「いまはチームも調子が良いし、変に代えられないと思う」。それは理解している。それでも「ベンチに入っているだけではなくて、試合に出てナンボ。(公式戦を)やりないな、という気持ちはあるし、できる自信もある」。だから、「もどかしい」。
ただ、腐るつもりもなければ、そんな暇もない。「きっかけ次第だし、自分のプレーで(自分の状況の)何かが変わっていく」。那須、高木、平川――。同じように出場機会がなかった選手がそのときを待ち続け、チャンスが与えられた際に結果を出していくこと様を目の当たりにした。彼らが練習で力を発揮し続けたことでチャンスを得たことも知っている。「急に変わることはないし、やり続けるしかない」。
2016年の公式戦はそう多くは残されていない。それでも石原はチャンスを待つ。日々、全力を尽くしながら。
写真:菊地正典
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(浦和担当 菊地正典)
2016/10/27 19:00