28日、練習を終えた高柳一誠はしみじみと話した。
「ちょうど今日ですよ。一年前の今日、手術したんです」
札幌に在籍していた昨年、開幕を目前に控えたとき、古傷の故障が判明した。
「記念ではないです。でも、忘れちゃいけない日。自分自身に失望したし、期待をかけてもらいながら、何一つ貢献できずにチームはJ2に落ちた。申し訳ない気持ちだった」
札幌を退団後、一時は現役引退も考えた。それでも、神戸への練習参加という縁を得て、サッカーというステージに舞い戻った。「広島や札幌のサポーターが励ましてくれたり、神戸のサポーターも温かく迎えてくれた。僕は無愛想なんですけど、応援してくれた人たちに恩返しがしたい」
現在は選手寮に仮住まい。札幌から来た寮母さんの作る料理に「この生姜焼きって、札幌の時と同じ味」と、奇妙な縁に頬を緩ませる。けがとともにあった2年間を高柳は「地獄」と称した。そこに、新天地に期すなみなみならぬ覚悟がにじんでいる。
(神戸担当 小野慶太)
2013/02/28 21:37