ヤンフロがクラブ史上初の快挙を成し遂げた。29日、川崎F.U-18は味の素フィールド西が丘で行われた第48回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 準決勝で福岡U-18と対戦し、PK戦の末に勝利。これまで2度挑戦して敗退していた準決勝を突破し、決勝進出を果たした。
グループステージから8日間で5試合、さらに川崎F.U-18はロード宮城総合運動場 陸上競技場で行われる予定だったグループステージ第1日目が雷の影響で延期になり、3試合で3試合を戦った上、まだ暑さが残る17時キックオフの試合と過酷な状況での戦いになったこの一戦。前半は川崎F.U-18がボールを支配し、福岡U-18がカウンターで応戦する展開になったが、両者ともに決め手を欠いてスコアレスで40分を終える。
後半に入ると福岡U-18がアグレッシブなプレスから押し込みながらチャンスを決め切れない場面もあったが、63分に中村環太が豪快なシュートを決めて先制した。
苦しい時間が続いた中で失点してしまった川崎F.U-18だが、失点直後にキャプテンの土屋 櫂大を中心に集まり、「あと17分あるから。俺たちは(グループステージ突破を決めた)鳥栖戦では15分で4点決めたんだから下向く必要ないし、笑ってサッカーをしよう」と声を掛け合うと、同点を目指して猛攻を仕掛ける。
それでもなかなかゴールを奪えない展開が続くと、終盤にはヘディングの強さに定評がある土屋がセンターバックから最前線へ上がった。
すると4分と提示されていたアディショナルタイムの4分だった。前線から積極的に仕掛けていた右サイドバックの柴田翔太郎がボールを受けてから切り返して左足でクロスを上げると、ファーサイドからニアサイドへと斜めに走り込んだ土屋がヘディングシュート。これがゴール左に決まり、川崎F.U-18が同点に追いつく。
そのまま80分を1-1で終え、延長戦はなくPK戦へ。先行の川崎F.U-18の9人目まで全員が決めるハイレベルなPK戦が続き、福岡U-18の9人目。川崎F.U-18の2年生GK松澤成音が左へ飛びながら右足でボールを弾いてセーブ。この瞬間、川崎F.U-18の決勝進出が決まった。
試合後、同点ゴールをアシストした柴田が「前半から右足でクロスを上げていて、相手がだいぶ警戒していたと後半から感じていて、それでも縦に行けていたけど最後は相手が完全に縦を切ってきたし、左足のクロスも自信があるので、切り返して上げた。中に櫂大がいたので、決めてくれてよかった」と言えば、決めた土屋は「柴田がサイドでボールを持ったときは必ずいいボールが来ると分かっていたし、柴田を信じて中に走ったら本当にドンピシャのボールをくれたので柴田のゴールだと思うし、たまたまあそこにいたのが自分だっただけで、ここまでみんなで来られたのでみんなのゴールだと思う」と殊勝なコメント。さらに、昨年のU-17ワールドカップに出場するなどアンダーカテゴリーの代表でもチームメートである柴田との相性について「抜群です!」と高らかに発した。
また、PKストップで殊勲の松澤は「早く止めてあげないと蹴る側もきついので止めなければと思いながら、冷静さをもって最後までボールを持て止めることができた。クラブとして初めての決勝進出は率直にうれしい」と喜びながらも、「まだ何も成し遂げていないので、決勝も勝って優勝したい」と先を見据えていた。
そして長橋康弘監督は、この日だけではなく群馬でのグループステージでも応援に多数駆けつけたサポーターに対し、「サポーターの方々の力で勝てているところがすごく大きく、今日のPKも(川崎F.U-18ゴール裏側だったこともあり)まさしくサポーターの力を借りて勝たせていただくことができた。あと1試合、何とか力を借りたいですし、我々も内容と結果で応えたい」と感謝しながら引き続きのサポートをお願いした。
第48回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 決勝は31日(水)18時に味の素フィールド西が丘でキックオフ。川崎F.U-18は初優勝をかけ、昨年を含めて過去4回優勝しているG大阪ユースと対戦する。
文・写真:エル・ゴラッソ川崎F担当 菊地正典
(BLOGOLA編集部)
2024/07/30 09:11