新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期されていたユーロ2020が、いよいよ6月11日に開幕する。ユーロは欧州の激戦を勝ち抜いた代表チームが覇を争う大会で、そのクオリティーはW杯以上とも言われている。
名古屋で指揮を執るイタリア人マッシモ・フィッカデンティ監督も、今回のユーロ2020に注目している一人。イタリア人にとってユーロはどんな大会なのか。氏のチーム作りと同様にベースとなる部分から話してくれた。
「イタリアはパスタとサッカーで生きてきたような国民です。約150年サッカーを本気でやってきた歴史があり、W杯でも4回優勝し、ユーロでももちろん勝っていますし、クラブ単位で見ても多くのクラブが世界の頂点に立っています。
その長い歴史の中で2回ほどW杯に出られないことがありました。その1回が残念ながら直近のロシア大会で、それはイタリアにとって悲劇だったわけです。しかし、そこから見事に立て直しました。世代交代もうまくいき、今はすごく強い状態になっています。
『ユース世代の強化に力を入れて、もう一度イタリア人の若い選手をしっかり育てる。それが代表の強化につながるんだ』と、国全体で取り組んできた結果です。そういう意味で、今回はとても興味深くイタリアチームを見ています」(マッシモ・フィッカデンティ監督)
今回のイタリア代表には、前回のユーロ2016を経験した選手は7人しかいない。60年ぶりにW杯予選敗退という屈辱を味わい、ロベルト・マンチーニ監督はうまく世代交代を図りながらチーム作りを進めてきた。グループリーグではスイス、ウェールズ、トルコと決して侮れないチームばかりではあるが、優勝候補と目されるチームはいない。下馬評ではイタリアを優勝候補に挙げる報道も増える中、マッシモ・フィッカデンティ監督は、ユーロ2020の優勝争いについてまずベルギー代表に言及した。
「今回のユーロでは、ベルギーの名前を優勝候補に上げる方が多くいますね。ベルギーに関しては、国内リーグのレベルで言えば、ベルギーは欧州の中で決してトップに挙げられるレベルではないと思いますが、選手個々を見るとほとんどの選手がヨーロッパの強豪チームに所属しています。世代的に今はとても強い状態にありますし、今回のユーロはベルギーにとって大きなチャンス、もちろん将来いい選手が揃う可能性はありますが、このメンバー構成で見るとラストチャンスといえるかもしれません」
そして、当然のようにこのチームを挙げる。
「ユーロの歴史を見ると、フランス、ドイツ、スペイン、そしてイタリアが優勝候補になってくると思います。そこにたまにポルトガルが絡んできます。今回もベルギーを加えた、その中のどれかが優勝すると思いますが、私はイタリア人なので、いろいろ遠まわしに、そして謙虚に言いましたがイタリアが優勝します。マンチーニさんが素晴らしい作業をしたことは評価できると思います。応援の意味も込めてイタリアが優勝すると予想します」
4日に行われた国際親善試合でイタリア代表は、ユーロ出場国のチェコを相手に4-0と快勝し弾みをつけた。母国イタリアから直線距離でおよそ1万キロメートル離れた名古屋で指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督は、AFCアジアチャンピオンズリーグの厳しい戦いをこなしながら、イタリア代表の吉報を待つことになる。
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文・斎藤孝一(エル・ゴラッソ名古屋担当)
写真・徳丸篤史
(名古屋担当 斎藤孝一)
2021/06/08 18:52