寺田紳一がピッチに戻ってきた。
今年2月の練習中に「ブチッと切れる音がしたのでびっくりして後ろを振り返っても何も起きていない」と思いきやその実、自分のアキレス腱が切れていたという自身初の衝撃の出来事を振り返った寺田紳一。その後は地道なリハビリを繰り返すなかで、ついに前節、78分から今季初出場を果たした。
「俺だけを見ておけ」
ピッチに入るやいなやG大阪や横浜FCでホットラインを構築した大黒将志からそう要求され、パサーの血が騒ぐように次々とラストパスを供給、そのうちの1本を通して大黒の決定的なシュートにつなげてみせた。
「もともともっているクオリティや経験が違うし、前節も見ていてストレスがなかった」と手放しで称賛したのは横山雄次監督だ。寺田がアキレス腱断裂で長期離脱したことについて「今季の大きな誤算だった」と振り返る指揮官は、ここにきてカムバックした寺田に「戻ってきてくれて本当にうれしい」と最終戦に向けて期待を寄せている。
寺田自身は「練習試合では90分出ているけど、公式戦は前節の12分間だけ。練習試合と公式戦は別。長い時間はやってみないとわからない」と口にするが、前節後には「最後の試合でチャンスをもらえるのならば、楽しんでサッカーをやって、それで勝てれば最高」と話しており、今週もハードなトレーニングをこなしながら試合出場に向けてしっかりとアピール、心身ともに充実している様子だ。
「千葉はハイライン。自分からオグリさん目掛けたボールでゴールを奪えるんじゃないかと思っている」
寺田は最終節の千葉戦をそう見据える。数多のチャンスを作ってきた大黒とのホットラインは最終節でも千葉ゴールに襲い掛かるか。
写真:鈴木康浩
(栃木担当 鈴木康浩)
2018/11/15 18:41