リーグ戦終盤に差し掛かる中、千葉のMF矢田旭が好調だ。いや絶好調と言ってもいいのではないか。それぐらいの出来だった。インテリオール、サイドハーフとポジションを変えた前節・山形戦(2〇1)。随所にハイクオリティーなプレーを見せつけ、2連勝に貢献した。
「みんなでボールを運んでいるが、それだけでは崩せないというのはやっぱり自分の中の意識にあります。高い位置で1対1になれば、ドリブルで仕掛けるのはもちろん、(中盤でもマークを)剥がすことによって一気に数的優位になるし、スピードに変化を加えることも意識しています」
千葉は山形戦を含めて6戦連続で3バックの相手と対戦。5バック気味にして守備に重心を置くチームもあり、ボールを保持しているものの、残り3分の1での崩しが課題だった。細かな戦術の違いもあるので一概には言えないが、山形戦はその課題を一気に克服した。その一翼を担ったのは“持ってよし”、“抜いてよし”、“出してよし”の3拍子そろった背番号20だったのは間違いない。もともとオールラウンダーのイメージはあるが、中央でのドリブルからのチャンスメークは真骨頂だろう。
好調の要因を問うと、「どうなんでしょうね…。1対1の局面で剥がしたり、球際のボールを触れたりしているときは、コンディションがいいのかなとは思います。ポジション争いが激しいですし、(その効果が)いい意味で出ているのかもしれませんね」と少し困ったように照れ笑いを浮かべる。
一方、残り試合に話が及ぶと、秘めた想いがほとばしった。「自分たちのプライドのためにも、いまの順位を一つでも上げてシーズンを終える。それがきっと来年につながる。前節、(7月25日以来、)ホームで勝ててホッとできましたが、次もまたホーム。(サポーターが)たくさん来てくれると思うので(応援を)力に変えてまた勝ちたいですね」。J1昇格争いに絡めていない現状に納得できているはずがない。では残り5試合、何をモチベーションに戦うのか。矢田の答えは“ジェフのプライド”であり、“サポーター”である。
(千葉担当 大林洋平)
2018/10/19 18:34