「本当にイメージどおりのクロスとゴールでした」
前節・岡山戦(2〇0)で今季2アシスト目をマークした千葉のDF溝渕雄志。チームに流れを引き寄せた前半2分という理想の時間帯のお膳立てだった。
「チョルくん(大野)のキックからのセカンド(ボール)を抑えた時点でスタートを切り、也真人くん(町田)がタイミングよく出してくれ、中を確認する余裕もあった。相手のディフェンスラインが一列にそろっていた。かつ、GKとDFの間のスペースが見えた。(ゴールを決めた)イブくん(指宿)も待ってくれていたらしく、かみ合いましたね」
すべての状況を把握した上で、それに適した一つひとつのアクションを積み重ねた先に会心のゴールが生まれたという。
J2第30節まで4試合連続で先発に名を連ねたが、前々節は一転、ベンチ外。だからこそ岡山戦は期するものがあったはずだ。それをどう咀嚼してゲームに入ったのかの問いには明解だった
「やってやろうという気持ちはありましたが、それが出ちゃうと、僕自身いいプレーにならないことが多い。そこは逆に抑えて…。チームがいい流れになれば、自分も生きてくる。そのためにも守備から入って、ちゃんと地に足がつくイメージでやった。相手の攻め方、守り方を局面、局面で整理できていたので、一番の余裕につながりましたし、あのアシストで余裕も出ました」
大卒2年目の俊才、その最大の武器は“成長するための賢さ”。試合を重ねるたびにそのラーニングを消化し、判断力や感情コントロールを磨いてきたことで、対人能力や高いスプリント力などの特長をより引き出してきた。
チームの現状に目を移せば、アウェイで2連勝したものの、苦しい状況に変わりはないことも十分理解している。「(岡山戦は)一つの自信にはなりましたし、そこは素直に思います。とはいえ、1試合アシストをしただけ。(J1参入)プレーオフに向けては1試合1試合が勝負だし、連勝を積み上げていくしかない。まずは次の福岡戦。いま攻撃陣、守備陣の距離感がいいので、それを保ちつつ、相手の時間帯でもしぶとくプレーするのが僕の役割。なんとしても勝ちたいですし、終盤、もう一つギアを上げることが大事ですね」。自分の飛躍とチームの上昇を重ね、ただただひたむきに走り抜く覚悟である。
(千葉担当 大林洋平)
2018/09/15 11:23