東京Vでインサイドハーフのレギュラーとして開幕から第28節までスタメン出場を続けていた渡辺皓太が、アジア大会に出場するU-21日本代表に招集されてチームを離れている。U-21代表は渡辺の活躍もあって決勝戦に進出したが、もちろん渡辺のいない状況は、ここまで出場機会の少なかった東京Vの選手にとってチャンスでもある。リ・ヨンジなどは渡辺が旅立つ前から、「まだプロ2年目の選手がチームの中心になっているのは僕らとしても悔しい。皓太が帰ってきても『お前のポジションはないよ』ってことにしないと」と、渡辺本人に聞こえるように言っていたほどである。
井上潮音、佐藤優平、リ・ヨンジと代役候補がいる中で、その座を射止めたのは佐藤だった。その佐藤は前節の千葉戦で、劣勢の流れを変える同点ゴールを、奈良輪雄太のクロスに飛び込み豪快なダイビングヘッドで決めた。「これで優平くんは(今季計)4点、俺は3点。でも皓太は2点。『インサイドハーフはアシストよりゴールだよ』と皓太には言いたい(笑)」(リ・ヨンジ)と話した。明日の金沢戦の結果によっては本当に渡辺がすんなりレギュラーに戻れるとは限らなくなってきたかもしれない。
ロティーナ監督はインサイドハーフについてどう考えているのか? 必要な資質について聞いてみたところ、「技術があり、両方のエリアで仕事ができること。ボックス・トゥ・ボックスができる選手」だと答えた。現在のところゲームメイク役の梶川諒太、攻撃役の渡辺もしくは佐藤という組み合わせに落ち着いているが、「それが理想の組み合わせというわけではない」という。「攻撃的な選手もいれば、守備で貢献できる選手もいる。よりゴールを奪える選手もいる。それぞれの持っている特徴を生かし、状況に応じてチームに貢献できる選手を選んでいく」のが指揮官の考えだ。そして、こう付け加えた。
「タイプどうこうの前に、そのポジションには最も攻守において貢献できる選手を置くことにしている」
ロティーナ戦術において、インサイドハーフは生命線だということがこの一言だけでもよく分かる。渡辺の不在とジャカルタでの活躍は、間違いなくその争いに高いレベルで火を付けた。来週になるが、彼の凱旋が楽しみだ。
(東京V担当 芥川和久)
2018/08/31 18:41