UAEを1−0の辛勝で振り切り、アジア大会男子サッカー決勝に進出したU-21日本代表。一進一退でスコアレスの苦しい展開が続く中、守備への素早い切り替えからボールを奪い、上田綺世の決勝ゴールをアシストしたのが東京Vの渡辺皓太だった。ロティーナ監督も「すごく良いプレーだったと思う。奪うプレー、パス、ともに素晴らしかった」と愛弟子の大仕事をたたえた。
「皓太の試合はテレビで見ている」というロティーナ監督は、彼のここまでのプレーについて「ボランチとしてよくやっている」と評価するが、「中盤で守備ができ、攻撃も高いレベルでこなせる。彼の特徴が最も生きるのはインサイドハーフだと思う」と付け加えた。ただ、森保 一監督の率いる今回のチームにインサイドハーフのポジションがないことは、スペインから来た知将も承知している。「シャドーで使えと?」という質問には、多少の迷いを残して首を振った。曰く、「高い位置で相手を背負ってボールを受ける場面が多くなるが、その時のプレーには課題がある。シャドーの選手はターンするだけでなく、そこからゴールに向かっていく仕事をする必要がある」と。
森保監督は渡辺を、松本泰志や神谷優太ら攻撃的なボランチの相方となるバランサーとして起用しているフシがある。初戦のネパール戦ではよく攻撃に絡み縦パスから次々にチャンスを演出し、決勝ゴールの起点にもなったが、試合を重ねてチームの形ができてくると次第にそうしたプレーは減っていった。その辺りにおそらくロティーナ監督も見ていて多少の歯がゆさがあるのだろう。短い取材時間の中で何度も「彼はインサイドハーフの選手だよ」と繰り返した。
ともあれU-21日本代表は決勝に駒を進めた。グループリーグ第2戦以外はすべてスタメンフル出場しているだけに、森保監督からの信頼も厚いのだろう。「守備もやって、ゲームを作って、ラストパスも出せて、ゴールも決める」。渡辺の理想を、決勝戦で韓国相手に見せてもらいたい。
(東京V担当 芥川和久)
2018/08/31 15:48