22日、新潟はトップチームの監督に、片渕浩一郎氏の就任を発表した。
クラブは今季の成績不振を受け、鈴木政一前監督を7日付けで解任。後任人事を進めていたが、21日の夜に片渕氏へ正式オファーし、合意に至った。
ここ3年、シーズン途中で監督交代となるたびに代役を努めてきたのが片渕氏。16年9月、吉田達磨氏の辞任を受け、J1残留をかけた終盤4試合を指揮。17年5月、三浦文丈氏の休養と辞任を受け、呂比須ワグナー氏就任までのルヴァンカップ含む2試合で監督代行を務めた。今年は鈴木監督解任後、2試合の暫定指揮を経て、監督就任となった。監督を務めるのは16年に続き2度目となる。
中野幸夫社長は経緯について「クラブが置かれている状況を理解し、チーム・スタッフと一丸となって指揮をとれることを条件に、調査・打診を進めてきたが、相手の条件との間で合意に至らなかった。候補の一人として考えていた片渕ヘッドコーチと戦い抜くことを決めた」と報道陣に明かした。片渕氏については「鈴木監督をリスペクトした中で、一丸となる重要性を説く、実直でぶれない指導者」と評価する。
片渕新監督は「苦しい中、応援してくれるサポーターに勝ちを届けていきたいし、応援したいと思ってもらえるチームであるべき。そのためにはピッチで戦う。新潟らしく、アグレッシブに、積極的にアクションを起こしてやっていきたい」と抱負を述べた。攻撃も守備も自分たちからアクションを起こすという、鈴木前監督のサッカーを踏襲することに加え、チームが一体感を持ち、組織として「つながり続けること」を強調した。
現在、チームはJ2で19位。「(与えられた)“ミッション”は、最低でも来年J2で戦えるようにすることだが、“目標”は少しでも上の順位。望みある限り、プレーオフを目指す」と新指揮官は前を向く。
この日のトレーニングは新たな競争の始まりとして、活発なアピールが見られた。中でもひときわ意欲を燃やすのは、DF川口尚紀。片渕監督は、川口にとって新潟ユース(現・U-18)時代の恩師でもある。「フチさん(片渕監督)には昔からお世話になっているし、一緒にこの状況を抜けたいとあらためて思った。いまこそ助けたい」。今季リーグ戦は4試合出場にとどまっているが、ルヴァンカップ第5節・FC東京戦(3◯2)では決勝点を決めるなど、攻撃で持ち味を発揮する場面もあった。また地元出身で、子どものころから新潟を見てきたからこそ「このチームを思う気持ちは、誰よりももっている。走ることや、球際を厳しくいくというベースを、練習から意識して出していきたい」と、自ら新潟らしさをけん引するつもりだ。
心一つに、リスタートを切った新潟。26日のJ2第30節・福岡戦で、片渕監督体制での初陣を迎える。
(新潟担当 野本桂子)
2018/08/23 08:29