千葉の10番がいよいよ復帰間近だ。左肩関節脱臼で長期離脱していたMF町田也真人は今週から全体練習に完全合流し、15日には明海大との練習試合に出場。公式戦出場に向け、調整のギアを上げている。
5月22日に行った手術からのリハビリ期間について「いやぁ、長かったですね」と本音をぽろり。なかなか波に乗れないチームの助けになれない歯がゆさもあった。だからこそ、「もし自分が出られたときには『もっとやらなきゃな』というのはある」と言葉に力を込める。
その意識をより強くもたせてくれた出来事が8月にあった。プロ入りした12年から3年間、千葉でともにプレーした元日本代表の山口智氏(現G大阪コーチ)との再会だ。「(当時、)私生活を含めて『甘い』と言われていて、いい意味で厳しさを教えてくれた人。活躍しているところ見せたい人No.1ぐらいの人。そして、あの置き土産をされてしまった人ですね」と偉大な先輩を形容する。
町田が言う『置き土産』とは、山口氏が千葉で最後のゲームとなった14年のJ1昇格PO決勝の山形戦での出来事。0-1で敗れ、昇格を逸した直後、町田は前半のスコアレス時に負傷で一時ピッチを退いたことについて山口氏から名指しで苦言を呈されていた。「結果が違えば、いい時間稼ぎだったとなるかもしれないが、(その後失点した)結果がすべて。そういうところまでゲームを読めていなかった」と振り返る。
いまでは「(苦言は)イヤでしたけど、それがあったからいまの自分がある」と言える。そして、久しぶりにかわした山口氏との会話の中で沸々と湧き上がってくるものがあった。
「自分の中であの人はすごすぎる。聞けば聞くほど、ちゃんと答えが出てくる。『いつも俺の持論だからね』と言ってくれるが、その持論は崇拝するぐらいほぼ正解。(16年に)二ケタ得点をとって『成長してきたと思った』とは言ってくれたが、『2年連続でとらないと評価につながらない』とも言われた。自分がやれることはまだまだあるし、まだまだ甘いとも感じました」
偉大な先輩から強烈なゲキを受け、思いを新たにした10番。今季、残された10数試合で“見返したい人”に成長を遂げた姿を見せつけるつもりだ。
(千葉担当 大林洋平)
2018/08/16 20:27