「すごいっすよ」。言葉はシンプルながら、感情を込めて伊藤翔は元チームメート、W杯ロシア大会で全7試合に出場し、フランスの20年ぶりの優勝に貢献したオリビエ・ジルーについてそう表現した。
伊藤が中京大中京高を卒業してグルノーブルに入団した際、同クラブで2年目を迎えていたのがジルーだった。「当時からすごい選手だったけど、あんなにヒゲがもじゃもじゃになるとは思わなかった」と伊藤らしい冗談を交えたが、「すごく面倒見がいい人間で」あり、高卒でいきなり海外に挑戦した伊藤が「すごくよくしてもらったし、助けてもらった」のがジルーだったという。「W杯は日本も盛り上がったり、友だちも優勝したし、よかったですね」と伊藤は笑った。
その伊藤は17日の練習でレギュラー組のFWでプレーし、リーグ再開となる18日の仙台戦で先発出場すると見られる。「天皇杯(横浜FC戦)ではウーゴ(・ヴィエイラ)が点をとっていたし、てっきりウーゴが出るのかと思っていたからビックリした。でも出るからには頑張らないといけない。ウーゴのぶんも頑張らないといけない」。
伊藤とヴィエイラは同じポジションのライバルでありながら「互いにリスペクトし合っている」関係。それは横浜FC戦ではじゃんけんで勝ってPKを蹴ったヴィエイラが「翔じゃなければじゃんけんもしていない。好きな選手だし、好きな人間性。すごく頼りになる人間」と話していたことからも理解できる。
かつてのチームメートが世界を制したあと、現在のチームメートの気持ちも背負い、伊藤は仙台戦のピッチに立つ。
(横浜FM担当 菊地正典)
2018/07/17 19:46