
「僕は現状に絶対満足はしませんし、(味方の)プレーにも口を出すほうではないです。むしろ僕自身が、常に成長を追い求めてプレーするタイプ」と自身を形容する、“岐阜の顔”難波宏明に先週行われたJ2第13節・松本戦で念願の今季初ゴールが生まれた。
開幕から得点に至るまでの期間には、「得点をとっていませんし。僕自身の中では、まだ開幕してはいない感覚です」と語っていた昨季のチーム内得点王にゴールが生まれたことは、現在のチームにとっても何より。第14節・大分戦に向かう今週の練習を見学にきていたサポーターからも「そりゃ難ちゃん(難波)が(得点を)とったら(盛り上がる)。岐阜の顔だからね」という声が挙がり、難波のゴールがいかに待ち望まれていたかも理解ができた。しかしそういった期待も全て織り込み済みの難波には、初ゴールまでの期間に多少なりとも不安な気持ちや葛藤があった。
「全然気にしてなかったと言ったらウソになります。とにかく、僕の仕事は点をとることなので。だから松本戦まで11試合出場してノーゴールというのは…。(途中出場という限られた時間の中で)時間が短いからとかっていうことは関係のないことだと思います。出場している以上は(得点の)チャンスがあるわけですから。『早く得点したい』という気持ちが内心ありました」。
今季の難波は先発出場がまだない状況だ。しかし、常に全力で練習に打ち込み、背中でチームを引っ張る人柄は健在。練習でも、試合でも、FWとしてのプレーにこだわる姿は色褪せてはいない。だからこそ、自身の得点には人一倍こだわるし、抱いていた得点までの不安や焦りも、チームの勝利を願うが故の純粋な気持ち。松本戦でのゴールは難波にとって正に、今季の幕明けを告げるゴールとなった。
さらに、この松本戦の(5月6日の)ゴールの1日前、5月5日の子どもに日に絡めたエピソードも語ってくれた。
「僕は毎年、5月5日の子どもの日には、(自身の)子どもにケーキを買ってあげるんです。でも、今年は(子どもに)ケーキを買うことをしませんでした。なぜなら、1日遅れにはなりますが、僕の子どもに、そして全国の岐阜を応援してくれている子どもたちにも、ゴールというプレゼントを送ってあげたかった」
この気持ちを強く持って試合に挑んだ難波は、最高の結果を残して子どもたちへと1日遅れのプレゼントを送ったのだった。
難波は今週木曜日の練習後に、今節の相手となる大分との対戦に向けてまた、気持ちを切り替え力を込めた。「宇宙人と試合をするわけじゃない。首位ですが、同じJ2のカテゴリーの相手。練習でやっていることに、いかに自信を持ってプレーできるかどうか」。今季初得点を挙げ、ここからの得点量産を期す岐阜の顔・難波は、首位相手の白星奪取を誓い、大分へと乗り込む。
(岐阜担当 岩波陽平)
2018/05/12 13:37